1991 Fiscal Year Annual Research Report
工芸による教育の研究ーー教育媒体および感性的カリキュラム論ーー
Project/Area Number |
02610107
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
宮脇 理 筑波大学, 芸術学系, 教授 (40093710)
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Keywords | 工芸の規範と教育の関係 / 工芸による教育論 / 工芸による感性教育論 / 感性的カリキュラム論 / 工芸による教育媒体論 / 工芸と教育 / 工芸によるカリキュラム論 / 工芸によるカリキュラム計画論 |
Research Abstract |
(1)人間は自然を操作する程の知的な存在であるが、その乱用は逆の事態をまねきかねない。一方、「ものづくり」、とりわけ「手仕事」は自らの精神を現実とかみ合わせる機能を本質的にもっている。いわゆる手で考えるという観点である。しかしながら「ものづくり」はその媒体によって質が左右される。これまでの手工、工作、技術、デザインの教育では媒体に関しての判断と検討が未熟であったことを反省として示した。 (2)現在の「学校」を「擬制」として措定し現状の認識を示した。 (3)カリキュラム概念に感性的要因を含ませることが必要であることを中心に展開。とりわけ近代が国民・国家体制を構築するために、共同体の論理とそこで育てられる個(性)を捨象してきた事実と、その再現こそが(序論)における「擬制」となりつつ在る学校を再生し得るとした。 (4)「手」によって思考する方法は、(造形)絵画による教育の個性優先によって捨象された。反面、近代が捨象した共同体の中で育てられた個(性)は等閑視される。しかし、現在から未来にかけての教育機能には後者こそが必要であることを歴史的な事実から述べる。 (5)あらためて教育媒体としての「工芸」に焦点をあて、多用な(造形)芸術の中から「工芸」を浮上させる意味を述べ、その整合性が奈辺にあるかについて周知の柳宋悦の「民芸論」、フォ-ク・ア-ト論、様式論などの是非を展開し、教育として責任のもてる媒体論を提示した。 (6)媒体となる得る「工芸」に内在する「ダイナミズム」を中心に述べ、そのダイナミズムによって人間が形成される可能性と方策を示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 宮脇 理: "国際理解から国際化へーーネットワ-キング論の登場の中でーー" ア-ト エデュケ-ション. Vol.2,No.4. 2-8 (1990)
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[Publications] 宮脇 理: "短期大学における造形・美術教育は変動の現在に対処できるのか" ア-ト エデュケ-ション. Vol.2,No.2. 2-10 (1990)
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[Publications] 宮脇 理: "擬制としての学校ーー再構築の可能性ーー" ア-ト エデュケ-ション. Vol.3,No.2. 64-74 (1990)
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[Publications] 宮脇 理: "「美術教育史研究」と結連チャネル" ア-ト エデュケ-ション. Vol.3,No.3. 2-6 (1991)
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[Publications] 宮脇 理: "工芸による教育の研究" 筑波大学芸術研究報告第17輯ーー芸術研究報12ーー. 17輯. 45-71 (1991)
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[Publications] 宮脇 理: "工芸による教育" 建帛社(筑紫恒男), 500 (1992)