1992 Fiscal Year Annual Research Report
英米文学にみるユダヤ人関連のメタファー 一非寛容と寛容の交錯
Project/Area Number |
02610218
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
河野 徹 法政大学, 第一教養部, 教授 (40061080)
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Keywords | イギリスのユダヤ人 / ライオネル・ド・ロスチャイルド / 『アイヴァンホウ』 / アイザックとレベッカ / 『オリヴァー・トウィスト』 / フェイギン / 『ダニエル・デロンダ』 / シオニズム |
Research Abstract |
当初の計画では、開始年度に中・近世英文学、中間年度に近・現代英文学、終了年度にアメリカ文学を対象として、それぞれのユダヤ人像を纏めるはずでしたが、開始年度に本研究以外の論文2編にまずけりをつけなければならず、スタートが大幅に遅れてしまいました。結局中間年度に「中・近世英文学にみるユダヤ人像(1066-1600)」(『法大教養部紀要第81号』、1992)を仕上げ、終了年度には、近・現代英文学全域をカバーするためのリサーチを進めました。ユダヤ人のイギリス再入植がその緒についた1655年以降の歴史を辿った後、スコット作『アイヴァンホウ』中のレベッカとアイザック、ディケンズ作『オリヴァー・トウィスト』中のフェイギン、ジョージ・エリオット作『ダニエル・デロンダ』中の主人公および他のユダヤ人群像を分析し終った段階で、400字詰め85枚に達し、紀要の掲載許容範囲を大幅に超えてしまいました。やむなく予定していたT.S.Eliotの初期詩集、パウンドのいくつかの詩章、そしてジョイスの『ユリシーズ』に関する論述は、来年度刊行の紀要に回さざるを得なくなり、したがって第2論文のタイトルを「近代英文学にみるユダヤ人像」としました(『法大教養部紀要第85号』、1993)。未完の第3論文「現代英文学にみるユダヤ人像」は、予備的リサーチを一応終え、大体の構想も立っていますので、今年9月中旬には完結の予定です。 「英米文学にみるユダヤ人関連のメタファー」という研究課題を掲げておきながら、アメリカ文学の方は手つかずになってしまい、見通しの甘さを反省しております。上記第3論文を脱稿したあと、近代および現代アメリカ文学におけるユダヤ人像を、やはり2、3回に分けて探究し続け、いずれは英米合わせて一本に纏め上げる所存です。
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Research Products
(1 results)