1990 Fiscal Year Annual Research Report
大テロル期ソ連における農村の政治過程ー1936ー37年の農業不振をめぐって
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02620028
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
内田 健二 岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (20168694)
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Keywords | スタ-リン体制 / 大テロル / アゾフ=黒海地方 / 北部=ドン管区 / 防風林植林計画 / 秋耕 / 単位収量向上 / 行政区画再編 |
Research Abstract |
1936年のソ連農業は深刻な旱魃の影響を受け、全国的に凶作となった。その結果、穀物調達は難航し、いくつかの地方を除けば失敗に終わった。アゾフ=黒海地方は調達課題を達成したものの、春播き予定地の秋耕と防風林植林事業で失敗し、中央から強い叱責を受けたまま36年を終えた。 37年初頭、地方第一書記シェボルダ-エフが突如解任され、その後、指導部は全面的に更迭される。旧指導部に対する責任追及は農業に関連してなされた。シェボルダ-エフらは党中央の警告にもかかわらず、北部=ドン管区での単位収量向上を果たせなかった。同管区はそれへの制裁措置として廃止された。さらに植林の実施方法も非難の的となった。旧指導部が過大なノルマを各地区に課したため、地区によっては、牧草地などを植林用地として提供せねばならなくなった。その結果、家畜用の飼料生産が困難な事態に陥ることとなったのである。 以上の検討から以下の結論を暫定的ではあるが、導き出すことができる。第一に、37年の大テロルの高潮はアゾフ=黒海地方のみならず、36年農業で失敗した各地方に及んだが、その重要な標的の一つは農業指導者であった。37年大テロルは、前年の農業カンパニアの失敗に対するスタ-リン指導部の報復、制裁措置であったと考えられる。 第二はスタ-リン体制のもとでの農村支配の方式についてである。37年、アゾフ=黒海地方をはじめ、36年農業に関連して厳しい叱責を受けた一連の地方が分割された。北部=ドン管区の廃止をはじめ、地方の分割などの行政区画の再編は、中央が農村に対する政治的掌握力を強めることを企図した措置であり、スタ-リン体制の危機管理策の一つの柱をなすと考えてよいであろう。
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Research Products
(1 results)