1991 Fiscal Year Annual Research Report
日本産業における技術と労働の実態に関する調査研究の集成
Project/Area Number |
02630022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 潔 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (60013017)
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Keywords | 造船業 / 船空機産業 / 日本の工場 / 流れ作業 / フリ-・フロ-・ライン / ロボット / VTR工場 / 生産構造 |
Research Abstract |
(1)日本における近代造船技術形成の初期条件を明らかにするために、幕末の伊豆戸田村におけるロシア船「ヘダ号」の建造過程を解明した。この場合,(イ)大和型船と異なる西洋型船の建造のための技術,(ロ)「ヘダ号」建造過程をリ-ドしたロシア人と日本側関係者の社会階層構成に注目した。(ハ)近代技術の導入は,それに適合的な社会的諸条件なしには,成功しえないからである。 (2)第2次大戦中の日本の飛行機産業の職場における製造技術を検討し,現在最終稿を報筆中である。從來,戰時における飛行機の生産方式については,“流れ作業"方式,“タクト・システム",“ジョブ・ショップ"方式等の説明がなされてきた。しかしながら,現実には,“半流れ作業"方式がとられていたことを明らかにする。(イ)部品加工からサブ・アセンブリ-(翼組立・銅作組立等)までは,“ジョブ・ショップ"方式がとられていたが,ファィナル・アセングリ-は,“半流れ作業"方式であった。(ロ)このような作業方式を補うものとして,刺激的賃金制度(三菱はハルヤ-制度,中島はロ-ワン制度)がとられていた。(ハ)このような作業職場方式・賃金形態を、米独のそれと比較することによって,日本の戰時生産力の限界が明らかとなってくる。 (3)1979年から90年代初にかけて,われわれの行なった工場見学(20ケ-ス)の記録集を編集し分析した.ここでは,(イ)生産技術につき考察するための前提にしての,その発展段階,(ロ)“流れ作業"とその特殊形態としてのフリ-・フロ-・ライン,(ハ)自動化・ロボット化,(ニ)日本産業の生産構造につき,考察されている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 山本 潔: "「ヘダ号」の建造(1854.55年)ー近代造船技術形成の初期条件ー(一)(二)" 社伝科学研究. 43ー5,43ー6. 59-107,121-168 (1992)
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[Publications] 山本 潔: "工場見学記録集ー日本の工場:1979〜90年ー(調査報告第25集)" 東京大学社会科学研究所, 209 (1992)