1990 Fiscal Year Annual Research Report
Phytolasinの活性システイン残基の化学修飾
Project/Area Number |
02640427
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
米沢 弘夫 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (00039603)
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Keywords | Phytolasin / Papain / ^3HーTPCK / 活性システイン残基 |
Research Abstract |
昨年までにアメリカヤマゴボウより単離されたPhytolasinはシステインプロテア-ゼであり,TPCKによって阻害される事が明らかにされていた。今年度はTPCKの結合部位を調べるために, ^3Hでラベルされた ^3HーTPCKを合成した。Phytolasinと,その対照として,代表的なシステインプロテア-ゼであるPapainとに ^3HーTPCKを作用させ,プロテア-ゼの残存活性と ^3HーTPCKとの結合量を調べた。その結果,プロテア-ゼに対して20倍モルの ^3HーTPCKを作用させると,両酵素とも完全に失活し,その時の ^3HーTPCKの結合量はPhytolasinでは1:0.85,Papainでは1:0.78であった。システインプロテア-ゼの不安定性を考慮すると,これは両酵素とも,酵素1分子に対し,1分子のTPCKが結合した事を示すと考えられる。さらに, ^3HーTPCKの結合部位を明らかにするために, ^3HーTPCKで処理したPhytolasin,Papainを還元ピリジルエチル化した後,プロテア-ゼ消化を行なった。消化物を購入したHPLCにかけ,放射能を持つペプチド断片の単離を行なった。まだ放射性断片の精製が完全に終わっておらず, ^3HーTPCKの結合部位を明らかにするまでには至っていない。一方,Phytolasinの一次構造の解明を行ない,かなりの部分のアミノ酸配列を明らかにすることができた。それによるとPhytolasinはPapainス-パ-ファミリ-に属する事が明らかになっている。その活性システイン残基近傍の構造もすでに判明しており, ^3HーTPCKの結合部を明らかにする上で,大きな寄与が期待できる。 ^3HーTPCkの結合部位は活性システイン残基であると予想しているが,ヒスチジン残基である可能性も残されている。あと数ケ月中に ^3HーTPCKの結合部位を同定できるものと考えている。
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