1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640478
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
足立 裕彦 兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (60029105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 幹夫 京都大学化学研究所, 助教授 (70068138)
小和田 善之 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助手 (90205542)
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Keywords | 遷移金属酸化物 / 混合原子価 / クラスタ-モデル / 分子軌道計算 / 高原子価 / 酸化物超伝導体 |
Research Abstract |
遷移金属酸化物中の金属イオンは多様な原子価状態をとる。この原子価状態の変化に伴う物性の変化は興味深い。それらの物性は価電子状態に起因すると考えられるが、遷移金属酸化物の価電子状態はd軌道準位や酸素イオンとの相互作用が複雑でよく解明されていない。本研究では遷移金属酸化物のモデルクラスタ-についてDVーXα法を用いて分子軌道計算を行い、理論的に電子状態の研究を行った。本年度のテ-マとして、高原子価のFe^<4+>の酸化物のCaFeO_3やSrFeO_3のモデルクラスタ-Fe_2O_<11>^<14->や酸化物超伝導体YBa_2Cu_3O_7のモデルクラスタ-Cu_3O_<12>やCu_3O_<10>を選んで計算を行った。これらの酸化物では金属αバンドとO2Pバンドがエネルギ-的に重なり、両軌道間の相互作用は大きくなり、フェルミ準位近くの電子構造は複雑になる。 Fe^<4+>酸化物の場合、Feイオンは高スピン状態のFe^<4+>イオンで存在する。またOイオンを介して2つのFe^<4+>イオン間の相互作用も大きく、両イオンは磁気的な結合を生じる。FeーO距離が小さい時は強磁性的な相互作用が生じ、距離が大きくなると反強磁性的な配列になることが予想できる。また距離の異なるFeO_6八面体がつながった場合は、2Fe^<4+>→Fe^<3+>+Fe^<5+>の不均一化が起り、混合原子価状態が出現する。計算の結果はメスバウア-効果などの実験をよく説明できる。 銅酸化物超伝導体の場合、YBa_2Cu_3O_7ではCu^<2+>イオンはnon magneticでCu^<3+>はO^<2->から電子をうばい、Cu^<2+>にならうとしフェルミ準位の電子構造はきわめて複雑である。YBa_2Cu_3O_6では平面のCu^<2+>は反強磁性的に配列し、中心のCu^+は比較的安定な電子状態にあることがわかった。クラスタ-モデルの計算は大阪大学大型計算機センタ-を利用し、デ-タ整理や論文作成などにはパ-ソナルコンピュ-タ-を使った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Adachi: "Electronic and Spin State of HighーValent Iron Oxides Studied by a DVーXα Cluster Method" J.Solid State Chem.
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[Publications] R.Sekine: "Electronic Structure of the CuOx(x=4,5 and 6)Model Cluster.II,Effects of the Madelung Potential" Mol.Cryst.Lig.Guyst.184. 395-399 (1990)
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[Publications] H.Adachi: "Study of Electronic and Spin State of YBa_2Cu_3Ox by DVーXα Cluster Method" Physica.