1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640485
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Research Institution | RIKKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
漆山 秋雄 立教大学, 理学部, 教授 (50062667)
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Keywords | ロジウム(III)錯体 / シアノ錯体 / 1,3ープロパンジアミン錯体 / 6員キレ-ト環 / 配位子場吸収帯 / 振動微細構造 / Cr(III)錯体のスピン禁制遷移 / 結晶備光吸収スペクトル |
Research Abstract |
シアノアンミンコバルト(III)や同じくクロム(III)錯体の配位子場吸収帯の微細構造を精密に測定するための良いホスト格子となるべき対応するロジウム(III)錯体の合成法を昨年度に引き続き検討した。本年度は特に、今まで微量しか得られなかったtransー[Rh(CN)_2(tn)_2]^+(tn:1,3ープロパンジアミン)の合成法を改良した。Transー[RhCl_2(tn)_2]^+より出発する4段階にわたる合成経路の反応溶媒、温度、時間の最適化をはかり、最終的にオ-バ-オ-ルの収率を数パ-セント台に上昇させることに成功した。その結果、元素分析も十分に行うことが出来、化合物の同定も確実なものとすることができた。この錯体の塩化物、硝酸塩、過塩素酸塩のIRスペクトルには870ー970cm^<-1>領域に顕著な相違がみられた。これは含まれる錯体の構造の違いを反映するものと判断し、これら3種の結晶すべてについてX線結晶構造解析を遂行した。その結果、これら3種の結晶塩に含まれる錯体のキレ-ト6頁環の構造はいずれもイス形ながら、環内に定義される二面角のいくつかにおいてかなりな相異がみられ、錯体の対称性および構造の均一性の観点より、目的の電子スペクトルの研究には硝酸塩を用いることが都合が良いことがわかった。以上、本年までの研究によってtransー[M(CN)_2(N)_4]^+M=Co,Crの電子スペクトルを測定するための対応する無色のホスト格子をすべてそろえることに成功した。一方、電子スペクトルの測定については、最も基本的な振動微細構造のみられる[Cr(CN)(NH_3)_5]^<2+>およびtransー[Cr(CN)_2(NH_3)_4]^+のインタ-コンビネ-ションバンドの精密測定を行い、各種の特製サンプルホルダを活用しつつきわめてクオリティ-の高い微細構造を得た。その結果、On場における^2Eg,^2Tg状態のC_4v場における分裂成分をすべてつかまえることに成功した。混晶状態における測定も予定しており、さらに良いスペクトルが得られよう。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kiyohiko Yoshida: "Preparations,Properties,and Crystal Structures of transー[Rh(CN)_2(NH_3)_4]Cl・H_2O and transー[Rh(CN)_2(en)_2]Cl" Bulletin of the Chem・cal Society of Japan. 64. 895-900 (1991)
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[Publications] Naomi Odano: "Preparations,Properties,and Crystal Structures of transー[Rh(CN)_2(tn)_2]X(X=Cl,(NO_3),(ClO_4))" Bulletin of the Chemical Society of Japan.
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[Publications] Akio Urushiyama: "Ligand Field Energy Levels of Low Symmetry Cowplexes of Cr(III)。[Cr(CN)(NH_3)_5]^<2+> and transー[Cr(CN)_2(NH_3)_4]^+" Bulletin of the Chemical Society of Japan.