Research Abstract |
本年度は,Aegilops cylindrica染色体を添加したパンコムギ品種Chinese Springの自家授精子孫から、欠失染色体がホモ接合個体の選抜を,分染法を用いて集中的に行った.また,欠失ヘテロ接合の個体に適当な異数体を交配し,その子孫から欠失ヘミ接合個体の選抜も行った。この結果,1991年1月現在,遺伝子地図(欠失地図)作成に利用可能な欠失ホモ及びヘミ接合系統を,以下のような内訳で,合計165得ることができた。第1同祖群(1A,1B,1D):ホモ接合23,ヘミ接合3.第2同祖群(2A,2B,2D):ホモ接合15,ヘミ接合4.第3同祖群(3A,3B,3D):ホモ接合15,ヘミ接合3.第4同祖群(4A,4B,4D):ホモ接合18,ヘミ接合4.第5同祖群(5A,5B,5D):ホモ接合17,ヘミ接合13.第6同祖群(6A,6B,6D):ホモ接合9,ヘミ接合4.第7同祖群(7A,7B,7D):ホモ接合33,ヘミ接合4.欠失系統の育成は来年度にかけて継続中である。 これらの欠失系統を利用して本格的な欠失地図作成を来年度に予定しているが、すでにいくつかの遺伝子については研究が進行中である。その一つは花粉稔性を支配する劣性遺伝子で,その座位を4B染色体短腕の約16%の末端領域に特定することができている(論文投稿中)。異質細胞質に対する雄性不稔稔性回復遺伝子については,その座位を1B染色体の付随体上に座位決定された(論文準備中)。アルファ・アミラ-ゼ遺伝子の欠失地図作成は,古田喜彦博士研究室(岐阜大学)との共同研究として行う予定で準備中である。DNAプロ-ブを用いた欠失地図作成については,Dr.B.S.Gill(Kansas State Univ.)との共同研究が現在進行中である。
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