1991 Fiscal Year Annual Research Report
造礁性サンゴの分布周辺部におけるサンゴ群集の維持機構について
Project/Area Number |
02640511
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野島 哲 九州大学, 理学部, 助手 (30112288)
|
Keywords | 造礁サンゴ / サンゴの成長 / サンゴの定着量 / サンゴの初期死亡過程 / 波浪によるサンゴの倒壊 |
Research Abstract |
本年度の計画としてあげた、1)幼生の定着実験、2)幼生の生残過程をみるために、平成3年6月上旬と7月上旬に調査地である沖縄の瀬底島と天草下島西岸の桑島の海底に定着板を設置した。瀬底島では定着板工に多くの幼生が定着し、8月と12月の回収した定着板をもとに現在稚サンゴの死亡過程を追跡中である。また一昨年6月と12月に染色した種々のサイズの群体と回収し、サンゴ群体のサイズと成長量をみるための資料とした。桑島のテ-ブル状サンゴでは海水温が20℃以上となる6月から11月にかけて、直径にして約6cm成長し、瀬底島のそれとほぼ同じであった。一方海水温が20℃以下になる12月から5月までの成長量は、瀬底島では夏季と同じ成長量が維持されたが、桑島では成長量は夏季の半分以下に留まった。回収と同時に3)新規に瀬底島と桑島で総計約100群体の染色、標識を行った。 天草島では昨年9月の大型で強い台風17、19号により、上述した1)2)3)の野外実験および種問関係を解析する目的で設置した永久コドラ-トがことごとく流出し、研究遂行上多大な損失を被った。台風という予期しない事態にあったが、波浪によるサンゴ群体の倒壊、崩壊についての貴重なデ-タを得ることが出来た。波浪による影響を最も受け易かったのは浅所での優占種であるエンタクミドリイシで、水深10mまでの大型群体の倒壊が著しかった。沖縄では台風の影響はさほど重大ではなかったが、造成工事などによる環境悪化とオニヒトデによる食害のため約60の標識群体の殆んどが6月から11月までの半年間に死滅した。 サンゴ群体の面積当りのポリプ数、サンゴのサイズ、ポリプの乾燥重量との関係については、標本を採集し現在解析を進めている。また、移植実験については台風の影響と時間的な制約のために今年度は実施できなかった。
|