1992 Fiscal Year Annual Research Report
造礁性サンゴの分布周辺部におけるサンゴ群集の維持機構について
Project/Area Number |
02640511
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
野島 哲 熊本大学, 理学部, 助教授 (30112288)
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Keywords | 造礁サンゴ / 個体群 / 群集 / 維持機構 / 定着 / 成長 |
Research Abstract |
今年度の研究計画として、当初は標識したサンゴ群体の成長および生残過程の追跡、永久コドラ-ト内の一定時間間隔差真撮影法による海藻、ソウトコ-ラル、サンゴ間の競争関係、幼生の定着量の測定を予定していた。しかしながら、1991年9月の台風17号19号により標識個体の倒壊、永久コドラ-トの流出により、当初の研究計画は変更を余儀なくされた。さらに、サンゴを食害する巻貝、トゲレイシガイダマシが天草のサンゴ分布域で見られ、サンゴに被害が目立つようになったため、本年度は1)沖縄瀬底島と天草におけるサンゴ幼生の定着量の測定、2)台風の波浪がサンゴ群集に与える効果、3)トゲレイシガイダマシによるサンゴ摂食量の測定を主な目的として研究を行った。 1)沖縄瀬底島のサンゴ礁域に164枚、また天草桑島、春這に144枚の定着板を設置し、産卵後3ヶ月目に回収して新しく定着した稚サンゴの密度を測定した。天草では定着板上に稚サンゴは全く見られなかったが、瀬底島では礁縁部で1平方メ-トルあたり平均5,670個の稚サンゴがみられた。 2)1991年9月の台風17号19号がサンゴ群集に与えた効果をみるためにグラスボ-トによる被度調査を行い、1990年度のマンタ法による調査結果と比較した。多くの地点で明かに10m以浅の造礁サンゴの被度が減少し、特外洋に面したテ-ブルサンゴへの影響が大きかった。 3)1992年9月22日にトゲレイシガイダマシによるサンゴ群体への食害が初めて確認されたため、サンゴの重要な捕食者としてのトゲレイシガイダマシの密度、摂食量の推定およびサンゴ群集への影響調査を行った。
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