1991 Fiscal Year Annual Research Report
1987年直撃台風で生じた対馬・龍良山原生林の林冠ギャップの復元初期相の研究
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02640513
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
伊藤 秀三 長崎大学, 教養部, 教授 (20039762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 進一 岡山大学, 農学部, 助教授 (60191409)
中西 こずえ 長崎大学, 教養部, 助手 (30100895)
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Keywords | アカガシ / イスノキ / ギャップ / 実生 / 指標植物 / スダジイ / 龍良山 / ベルトトランセクト |
Research Abstract |
龍良山の低地(約120m)から山頂(海抜560m)まで、幅10mのベルトトランセクトを設定した。ベルトの総延長は940mとなった。胸高直径5cm以上の樹木について、種別、生死の判定、胸高直径の測定とナンバリング、ならびに林冠ギャップの調査を行った。ベルトトランセクトの全長を50mごとに区切ると、0.05ha(最上部は0.04ha)のベルト19個(Bー1〜Bー19)となる。次の結果を得た。1)Bー1からBー12まではイスノキ、スダジイ、ウラジロガシが優占しているが、Bー13から上方Bー19まではアカガシ優占林となった。その変化は急激である。2)各ベルトの最大木はイスノキ、スダジイ林で大きく(最大個体は115cm)、アカガシ林で小さい(最小は45cm、最大でも85cm)であった。3)Bー1〜Bー19のいずれにおいても、全生存木の胸高直径分布は逆J型であった。 林冠ギャップは低地のイスノキ、スダジイ林に集中しているこかが明らかとなった。この原因はまだ明らかでない。ギャップ部位と非ギャップの林麻植生の比較により、ギャップ部位の植生の特色が明らかとなった。1)ギャップ指標植物(大本)は次の通り(出現頻度の高い順に)。イイギリ、アカメガシワ、サルナシ、カラスザンション、ハゼノキ、カジノキ、オオクマヤナギ。2)ジャップ部位で実生密度が高くなる照葉樹林要素はスダジイとカクレミノである。3)これらの植物の実生における直径と高さの相対生長関係は、将来、発生時不明のギャップの履歴の推定に寄与するので、以下の植物の生長関係を測定した。生長係数が高い上位5種は次の通り。ウラギンツルグミ、オガタマノキ、カラスザンション、カジノキ、クロキ。4)ギャップ指標のコケ植物の上位5種は次の通り。ホソバオキナゴケ、カタシロゴケ、トサヒラゴケ、エダウロコゴケモドキ、ツクシナギモドキ。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] ITOW,Syuzo: "Species turnover and diversity patterns along an evergreen broadーleaved forest coenocline" Journal of Vegetation Science. 2. 477-484 (1991)
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[Publications] YAMAMOTO,ShinーIchi: "Gap characteristics and gap regeneration in primary evergreen broadーleaved forests of western Japan." Botanical Magazine,Tokyo.105. (1992)
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[Publications] 伊藤 秀三: "対馬・龍良山照葉樹林の研究 I.森林植生の傾度構造" 長崎大学教養部紀要(自然科学). 33. (1992)
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[Publications] 中西 こずえ: "対馬・龍良山照葉樹林の研究 II.コケ群落" 長崎大学教養部紀要(自然科学). 33. (1992)
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[Publications] YAMAMOTO,ShinーIchi: "The gap theory in forest dynamics."