1991 Fiscal Year Annual Research Report
DNAを用いたキク科ヒヨドリバナ連の分子分類学的研究
Project/Area Number |
02640535
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢原 徹一 東京大学, 教養学部, 助教授 (90158048)
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Keywords | 葉緑体DNA / 染色体数 / ヒヨドリバナ連 |
Research Abstract |
本研究は,最近急速に進歩したDNA系統学の手法を用いてキク科ヒヨドリバナ連の系統関係を調査し,次の2つの仮説を検証することに目的がある。 1)ヒヨドリバナ属は,中南米に分布する祖先属から新大陸で起原し,その後旧大陸に分布をひろげた。 2)ヒヨドリバナ連に一般的なn=10という染色体数は,より大きな染色体数からの減少によって生じた。 ヒヨドリバナ連の各亜連を代表する12属,およびヒヨドリバナ連の外群としてメナモミ連,ハルシャギク連の2属について,葉緑体DNAの制限酵素断片長多型を調査した。これまでに40箇所の系統学的に意味を持つ制限サイト多型を見出した。これらのサイト多型を用いて,最節約法に基ずいて系統樹を推定した。その結果,n=17のAgeratina属,Neomirandia属のクレ-ドが先ず分岐し,次にn=17のMikania属が分岐し,続いてn=9〜11を持つ9属からなるクレ-ドが分岐した。この結果はn=17を持つ種群がヒヨドリバナ連の中では祖先的であり,ヒヨドリバナ連に一般的なn=10という形質状態は派生的であるという上記の仮説(2)を支持する。 現在,仮説(1)を検証するために,ヒヨドリバナ属内の系統関係の分析を進めており,近々研究を完了できる見通しである。これまでに得られたデ-タは仮説(1)を支持しており,当初に意図した研究計画は予想通りの結果を得て完了できる。
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[Publications] Yahara,T.,M.Ito,K.Watanabe,D.J.Crawford: "Very low genetic heterozygosities in sexual and agamospermous populations of Eupatorium altissimum(Asteraceal)" Amer.J.Bot.78. 706-710 (1991)