1990 Fiscal Year Annual Research Report
原核生物から真核生物への中間に位置する微細藻類の検索
Project/Area Number |
02640543
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
福田 育二郎 東京理科大学, 理学部・第一部, 教授 (30087324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長島 秀行 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (50084306)
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Keywords | 下等真核藻類 / イデユコゴメ / チアニジオスキゾン / 細胞進化 / 葉緑体DNA / ポリアミン組成 / 脂肪酸含量 |
Research Abstract |
筆者等は最下等真核藻類と考えられるイデュコゴメおよびその類縁種を用いて,その葉緑体DNAの特微を比較し,単細胞藻類の進化と系統とを追求してきた。本年度はその延長線上において未調査であった東北地方の酸性温泉数カ所から新たな研究材料を探集した。これらの中には目下同定中の数種の新株を含んでおり,その精査の結果が待たれる。今回購入したマイクロマニピュレ-タ-はこれらの新種のクロ-ン培養の手法として活用されている。チアニジオスキゾンはイデュコゴメよりさらに小さく1.5〜2μm程度細胞で顕微解剖技術としてほぼ限界に近く,テレビ技術などを併用して解決しつつある。新同定種の微細構造は,透過型および走査形電顕によって観察され,その成果については近く発表する予定である。細胞核DNA,葉緑体DNAの定量分析,フェレドキシン,ポリアミン,脂肪酸組成などの化学分析については既にその一部を発表している。ポリアミン成分については,ガスクロマトグラフィ-による分析の結果,イデュコゴメRK型はプトレッシン(C4:アミノ酸に結合する炭素数),スペルミジン(C3,C4),スペルミン(C3C4C3)を含み紅藻チノリモによく類似していた。一方イデユコゴメM型はこれらのポリアミンの他に,ジアミノプロパン(C3),ノルスペルミジン(C3C3),ノルスペルミン(C3C3C3)を含み,どの分類群とも異なるパタ-ンを示した。総脂肪酸量は,RK型では45℃培養細胞では20℃培養に比して20〜40%増加し,特にオレイン酸(C18:1)の増加が顕著であり,リノレイン酸は検出できなかった。他方M型では培養温度の上昇により総脂肪量が18〜26%に減少し,特にリノレイン酸の減少が顕著であった。これらの結果からイデユコゴメRK型とM型とは高温に対する適応の機構が異なることが考えられ,DNA分析の結果と併せて,微小細胞進化の過程を論ずる上で重要であると考えられる。
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Research Products
(2 results)