1990 Fiscal Year Annual Research Report
神経系細胞の分化過程における細胞の増殖、移動および形態変化と細胞骨格のリン酸化
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02640569
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
小林 孝彰 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90133389)
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Keywords | C6グリオ-マ細胞 / 形態的変異株 / 細胞突起数 / サイクリックAMP / ラミニン |
Research Abstract |
C6グリオ-マ細胞は、ラット脳星状細胞由来の株細胞であり、対数増殖期には上皮細胞様の偏平な細胞が密に接触したコロニ-を形成し、増殖飽和期には、多数の突起を持った星状細胞型への形態変化を示し、神経系細胞の形態的分化の研究に有用であるが、更に単純化にした実験系として、C6グリオ-マ細胞から継代培養可能な形態的変異株を単離し整理して、拡散型、直線型、離散型の3種を得た。いずれも細胞およびコロニ-の形が共に変化しており、対数増殖期にはおおむね上皮細胞型の形態を示すが、増殖飽和期には突起を持ったいわば分化型に変わる。 この形態的変化は膜透過性のcAMP誘導体により増強される。拡散型は細胞間の接触がゆるく多極性であるが本来のC6細胞に比べて突起が長く枝分れが少ない。直線型は双極性で、細胞が直線状に配向し、直線状のコロニ-を形成する。 離散型は単極性あるいは双極性で、細胞分裂後、娘細胞が離散する。 分散させた細胞を旋回培養して浮遊凝集塊をつくらせ、その後静止培養すると、細胞塊は培養皿上に接着して広がり、元のコロニ-形を忠実に反映したコロニ-を形成する。 これら形態的変異の原因のひとつは細胞間の接着性の変化と考えられる。 そこでラミニンの分布を蛍光抗体法で調べたところ、離散型にはラミニンが少なく、直線型ではラミニンは細胞端に偏在していた。 ラミニンが少なく突起数の減少した細胞に外からラミニンを与えると突起数は増加した。
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Research Products
(1 results)