1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640604
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Research Institution | NIHON UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小坂 和夫 日本大学, 文理学部, 助教授 (20139067)
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Keywords | 歪解析 / カコウ岩類 / テクトナイト / 偏光顕微鏡鑑察 / 風化 / 熱水変質 / 構造地質学 / 岩石変形 |
Research Abstract |
1.甲府花崗岩類について次の点が明らかになった。 (1)甲府花崗岩類の風化殻は現在の地形と大局的には平行であるが、局所的には斜交している。マサの厚さは0〜10メ-トル以上であり、その下に風化花崗岩が形成されている。風化殻の形成は鮮新世後期を中心とした時期に行なわれた。 (2)甲府花崗岩類は2つのタイプの熱水変質作用を受けている。鮮新世前期の中性・アルカリ性の熱水によるものと、鮮新世後期の酸性の熱水によるものである。前者は北北東方向の最大圧縮主応力軸の下で、後者は北北西方向の最大圧縮主応力軸の下で、それぞれ形成された。 (3)甲府花崗岩類には南北性の最大圧縮主応力軸の下で形成されたと推定される石英粒内割れ目・長石粒内割れ目・黒雲母のキンクバンドが認められ、石英の転位密度と共に南程それらが著著である。この変形作用は(1)の風化作用および(2)の変質作用と並行して行なわれた。 2.甲斐駒花崗岩類について次の点が明らかになった。 (1)糸静線から離れた低歪の部分では甲府花崗岩類と同様の微視的変形特性、すなわち、石英・長石の波動消光と粒内割れ目、黒雲母の褶曲によって特徴付けられる組織が認められる。 (2)糸静線に近い高歪の部分では石英の塑性変形と長石の脆性変形とが相互に関連しながら進行していることを示す組織が認められる。 3.筑波花崗岩類について次の点が明らかになった。 (1)筑波花崗岩類の風化殻は現在の地形と大局的には平行である。 (2)筑波花崗岩類では甲斐駒花崗岩類と同様に石英粒内の癒合割れ目が顕著であり、その卓越方向は開口割れ目の卓越方向と異なる。 4.以上の他、丹沢ト-ナル岩、北上花崗岩類、バサ-スト花崗岩、領家花崗岩類について脆性変形および塑性変形の若干の例を得た。
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