1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02640633
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
石塚 英男 高知大学, 理学部, 助教授 (00142349)
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Keywords | 神居古潭帯 / 三波川帯 / 塩基性岩 / 全岩化学組成 / 形成場 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度に主要・微量元素分析を行った115個の試料から、48個を選定し、希土類元素組成の依頼分析を行った。また、本年度は研究の最終年度でもあるので、今までの結果を基に以下のまとめを行った。 北海道神居古潭帯:主要・微量元素及び希土類元素組成に基くと分析試料は大きく2つのグル-プに分けられる。1つは液相濃集元素(IE)に富むグル-プで、他は乏しいグル-プである。野外では、後者の方が多く分布していた。IEに富むグル-プは海洋島(Ocean Island)型の玄武岩に類似しており、IEに乏しいグル-プは海台(Ocean Plateau)型の玄武岩に類似している。Nb/Zr比は両グル-プでそれぞれ異っており、つまり両グル-プを供給した始源物質(マントル物質)は異っており、恐らく時代的にも異っていたと思われる。その他、一部試料にはCr,Ni,Tiに枯渇した島弧型の玄武岩も存在した。 四国三波川帯:主要・微量元素及び希土類元素組成の挙動を見ると、分析試料はほぼ一連の相関を示す。しかし、Nb/Zr比などを詳しく見ると、Nb/Zr比の大きなグル-プと小さなグル-プの分けられる。前者のグル-プは、フィリッピン海などの背弧海盆の堆積岩中に貫入するEータイプMORBに類似しており、後者のグル-プは、同じく背弧海盆の基盤岩に類似している。 まとめ:北海道神居古潭帯の塩基性岩の多くは、海台・海洋島の複合体から供給され、その海洋プレ-トの時代も古く、それらは野外ではメランジェを構成する。四国三波川帯の塩基性岩は、比較的若い海洋プレ-トである背弧海盆の構成物から供給されたと考えられ、このことは野外で塩基性岩が堆積岩と整合的に産することとも予盾しない。両高圧変成帯でのこの様な塩基性岩の形成場の違いは、その温度ー圧力条件にも反映されており、このことは変成相の解析結果とも予盾しない。
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