1990 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビ-ムミキシング法によるTiN膜の作製とその疲労破壊の解明
Project/Area Number |
02650058
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村上 理一 徳島大学, 工学部, 助教授 (00112235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝村 宗英 四国工業技術試験所, 材料開発部, 室長
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Keywords | 疲労強度 / セラミック薄膜 / 表面改質 / イオンビ-ム / フラクトグラフィ- |
Research Abstract |
純チタンを電子ビ-ムで蒸発しながら60キロ級高張力鋼表面に蒸着すると同時にNガスをイオン化したNイオンビ-ムを照射することによって鋼表面にTixNのニュ-セラミック薄膜を創製した。この薄膜の創製は加速電圧,チタン蒸着速度,イオン電流密度などによって変えることができる。そこで,まずチタン蒸着速度を一定にし,イオン電流密度を変えて,各種のTiN膜を創製した。TiN膜の組成はイオン電流密度が高いほどTiN単体となり,それが低いとTiNとTi_2Nの混合組成となっていた。このTixN膜の組成によって薄膜の硬度が変化した。しかし、同一組成のTiN膜であっても薄膜の硬さに変化がみられ,TiNとTi_2Nの混合組成とTiN単体の境界付近で最も高い硬さを示した。これに伴って疲労寿命にも変化が生じた。すなわち,疲労寿命はTiN薄膜の被覆によって改善されるが,その程度は応力レベルに強く依存して変化し,応力レベルが高いほどその効果は少ない。TiN膜の被覆は疲労限を約30%上昇させた。次に,TiN膜の組成を系統的に変えてTixN膜を創製した。その結果TiN膜の組成が,TiN単体からTi_2Nの混合割合が30,50,80%とほぼ所定の割合で存在する組成の薄膜が得られた。この場合,薄膜の硬さは,TiN単体のものが最も高く,Ti_2Nが混入するほど軟らかくなった。これらの薄膜の被覆が疲労寿命に与える影響は,上述したように応力レベルに依存しており,応力レベルが低いほど改質効果がみられた。そして,TiN単体のものが疲労寿命を最もよく長くさせる効果があった。TiN薄膜被覆が疲労寿命改善効果がはっきりしたので,薄膜の厚さの効果を確めるために,2,4,6μmに変えたTiN膜を作り,その効果を調べた。その結果,膜厚が厚いほど,疲労寿命に改質効果がみられた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] R.Murakami: "Fatigue Properties of TiN Films on Steel Coated by Dynamic Mixing" Proc.of 6th Inter.Conf.an Mech.Behav.of Materials. (1991)
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[Publications] 村上 理一,勝村 宗英,赤沢 俊裕,矢野 哲夫: "ダイナミックミキシングによるTiN膜コ-ティング材の疲労強度" 第7回フラクトグラフィシンポジウム論文集. 57-61 (1990)
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[Publications] 矢野 哲夫,米田 理史,勝村 宗英,村上 理一,赤沢 俊裕: "ダイナミックミキシング法による窒化チタン被覆材の疲労特性への皮膜組成の影響" 四国工業技術試験所報告. 22. 33-38 (1990)
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[Publications] ファウジ,村上 理一,W.G.ファ-ガソン: "ダイナミックミキシング法により被覆したTiN薄膜の表面解析" 日本材料学会第40期学術講演会. (1991)
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[Publications] 松井 邦暢,村上 理一,勝村 宗英,矢野 哲夫: "イオンビ-ムを利用して被覆したセラミック薄膜の密着強度と摩擦について" 日本材料学会第40期学術講演会. (1991)
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[Publications] 赤沢 俊裕,村上 理一,勝村 宗英,矢野 哲夫: "ダイナミックミキシング法によるTiN薄膜被覆材の疲労挙動に及ぼす膜厚の影響" 日本材料学会第40期学術講演会. (1991)