1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650462
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沼倉 宏 京都大学, 工学部, 助手 (40189353)
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Keywords | ニッケル合金 / 水素 / 内部摩擦 / 磁気余効 |
Research Abstract |
1.高周波横振動法内部摩擦測定装置 静電的に試料の振動の励起および検出をおこなう電子回路を完成し,一応の測定は可能になった.しかし,信号強度が小さいため測定精度が満足のゆくものとなっていないので,さらに今後改良をおこなう必要がある. 2.置換型不純物と水素の複合体による緩和 前年度にひきつづき,Niー2at.%Ti多結晶および単結晶試料を用いた低周波内部摩擦および磁気余効測定をおこなった.多結晶と〈100〉方位をもつ単結晶の内部摩擦の比較から,緩和の原因となっているTiーH複合体の幾何学的配置は,Ti原子の最近接八面体位置にH原子が捕捉されているのではないことが結論された.これまで知られている様々の実験事実に照らしてみると,水素原子が四面体位置を占めることは考え難く,Ti原子の第二近接位またはそれ以遠の八面体位置を占めているものと考えられる.また,多結晶,単結晶両者で見出された外部磁場による緩和ピ-クの低下は,複合体のエネルギ-が磁場により変化することに起因すると解釈できる. 異なる方位の単結晶を作製して内部摩擦の結晶方位依存性を詳細に調べる計画であったが,単結晶育成炉の故障のため,達成できなかった. 3.侵入型不純物と水素の複合体による緩和 さまざまな金属において,侵入型不純物も水素をトラップして複合体を形成することが知られているが,NiーCーH合金中のCーH複合体による緩和現象を見出した.Niー2at.%C合金(多結晶)に水素を添加し,内部摩擦と磁気余効の水素濃度依存性,内部摩擦に対する外部磁場効果を調べたところ,NiーTiーH合金の場合と同様な結果が得られた.
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