1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650509
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
友田 陽 茨城大学, 工学部, 助教授 (90007782)
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Keywords | マルテンサイト変態 / 形状記憶現象 / 高Mn鉄合金 / イプシロンマルテンサイト / 繰り返し変態 |
Research Abstract |
オ-ステナイト(γ)【double arrow】イプシロン(ε)マルテンサイト変態による高Mn鉄合金の形状記憶発現条件に関して、FeーMn2元合金およびSi,Co添加合金を溶製して検討した結果、以下の成果が得られた。 1.γ【double arrow】ε繰り返し変態の可逆性は、合金成分に強く依存し、次に加熱上限温度と繰り返し数、加熱冷却速度に依存する。Si添加合金においてAt点直上とMf点以下の温度サイクルのときミクロ組織の再現性が良く可逆的変態がみられる.これらの結果についてγのすべりに対する抵抗力と積層欠陥エネルギ-に着目して考察した. 2.逆変態転位の回復挙動に関して興味深い結果が得られた.FeーMn2元系合金では900℃近くまで加熱しても多くの転位が残るが、FeーMnーSi合金では400℃近くまで急激に減少する.この結果は別に実施したMicrostructure memoryの有無と良く対応する. 3.繰り返し変態によりγが安定化する場合、そのγは等温変態を顕著に示すことが見い出された.これより、変態速度が変態転位の運動に対する熱活性化過程に律速されていると推定される。 4.外力の助けにより生ずるγ→ε変態は降伏強さの正(通常と逆)の温度依存性をもたらす.加工誘起変態におよぼす化学成分と繰り返し変態の影響に関して詳細な実験を行った.現在、加工誘起によるεの逆変態挙動について実験中であり、全体を把握するにはもう少し時間がかかりそうである. 5.上記の諸結果よりγ【double arrow】ε変態を利用すると両方向形状記憶の発現する条件が存在すると予想された.この点に関して今後さらに研究する予定である. 以上のように、有益な結果が次々と得られたので、その一部を日本金属学会講演大会にて発表(1990年秋)および発表予定(1991年春)である.
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