強度2GPa以上を目標とするβ型チタン合金の組織制御法

1991 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 02650512
• Research Institution: The University of Tokyo
• Principal Investigator: 丹羽 直毅 東京大学, 工学部, 助教授 (30011208)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 小野 勝男 東京大学, 工学部, 助手 (20160905) ; 綱川 英男 東京大学, 工学部, 助手 (90107558) ; 岸 輝雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40011085)
• Keywords: チタン合金 / β型チタン合金 / 機械的性質 / 熱処理 / 高強度 / 高比強度 / 二段時効 / 冷間加工

Research Abstract

蒸気タ-ビンブレ-ドの大型化による発電効率の向上の観点からβ型チタン合金は、高い比強度、優れた耐食性によりタ-ビンブレ-ドへの利用が開始されている。宇宙航空のみならず民生用分野においてもβ型チタン合金の優れた機械的性質をさらに一層向上させることが期待されている。研究代表者により開発された冷間加工・二段時効法は、従来法に比較し飛躍的に強度・延性のバランスを改善するものであり、新しいβ型チタン合金の加工・熱処理法として有望である。本法による強度・延性バランス改善のメカニズムは、冷間加工時に生じた歪の高い領域すなわちshear bandsや旧β粒界などは、蓄積された歪エネルギ-に比例して回復の進行が加速されるため、より均一な回復組織が得られること、さらに、冷間加工により導入された転位がα相の折出を促進し高い強度をもたらすこと、さらに、高温の時効で析出したサイズの大きなα相と低温の時効により折出した微細なα相のbiーmodal組織を形成することにより、優れた特性がもたらされることが明きらかとなった。また、本法により優れた特性を引き出すためには、これら要素の適度なバランスが必要であり、このバランスは、その性質上合金に強く依存するものであることが明きらかとなった。従って、現在すでに一部着手しているが他のβ型チタン合金系に対する研究をおこない、β型チタン合金に対し、本加工・熱処理法による機械的性質の改善のための統一的な指針を得ることが次の研究の目標となる。