1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02650571
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
森 誠之 岩手大学, 工学部, 教授 (60091758)
|
Keywords | メカノケミストリ- / メカニカルアロイング / 触媒 / 炭化水素合成 / FischerーTropsch合成 / 構造敏感性 |
Research Abstract |
前年度の成果を受けて、試作した振動ミルを用いてメカノケミカルに活性化した触媒を試料として、FischerーTropsch合成を行った。触媒としては鉄、ニッケルおよびマンガンなどの遷移金属を用いた。ヘリウム中であらかじめ粉砕・活性化しておき、ヘリウムを排気後水素と一酸化炭素の混合気体を導入し、室温に3時間静置しても変化は起こらなかった。つづいて、水素と一酸化炭素の混合気体中、室温で粉砕を行ったところ、一酸化炭素が触媒表面に吸着するが、炭化水素類の生成は認められなかった。そこで、反応温度を120℃に上げ、温度の効果を検討した。粉砕によって活性化したのち、混合気体を導入し120℃で反応させたところ、いずれの触媒でもわずかのメタン生成が確認された。そこで、反応温度を120℃に保ち混合気体雰囲気下で触媒を粉砕したところ、多量のメタン生成が確認された。言い替えれば、120℃という比較的低い温度でも、メカノケミカルな活性化を行うことによりFischerーTropsch反応が実現できたことになる。メタン生成量はニッケルを触媒としたとき最も多かった。鉄を触媒としたときは、炭化水素の生成量は低下した。しかし、炭素数の多いエタンおよびプロパンの生成を確認できた。鉄とニッケルの混合物(50wt%)を触媒としたところ、炭化水素の生成量は単一金属の場合の中間になり、エタンが生成することがわかった。以上のように、遷移金属をメカノケミカルにを活性化することで、FischerーTropsch合成が比較的低温で実現できることが明らかになった。今後は、反応条件、混合成分およびメカニカルアロイングの効果について検討する予定である。
|