1991 Fiscal Year Annual Research Report
セルロ-ス1合成ポリマ-新規複合体の調製とキャラクタリゼ-ション
Project/Area Number |
02650645
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
西尾 嘉之 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (00156043)
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Keywords | セルロ-ス / 合成高分子 / ブレンド / コンポジット / IPN / 相構造 / 熱的性質 / 力学的性質 |
Research Abstract |
1.ジメチルアセトアミド-塩化リチウムを共通溶媒とした高分子均一混合溶液から,凝固再生法によって,セルロ-ス/ポリエチレンオキシド(CELL/PEO)ブレンド膜を作製した。ブレンド膜中でのPEO成分の溶融結晶化挙動をDSC測定により追跡し,非晶CELL成分との相互作用を考察して結晶化のkineticsを定量的に解析した。CELL成分はPEOの結晶化に際して希釈剤として働き,結晶化速度を大きく減少させることが判った。また,本ブレンドフィルムは良好な力学性能を有し,特に破断伸度が著しく高くなることが判った。この他,ナイロンや脂肪族ポリエステルをセルロ-スの対成分に用いたブレンド製膜も可能なことを示した。 2.セルロ-スの均一溶液を2ーヒドロキシエチルメタクリレ-ト(HEMA)モノマ-中に凝固させてリオゲルフィルムとし,モノマ-の塊状重合によりセルロ-ス/PHEMAコンポジットを作製した。熱分析,粘弾性測定,力学試験等を行い,セルロ-スのゲル状態が固定化されたIPN様の構造をもつ複合体が得られていることを確認した。同様の方法により,セルロ-ス/ポリグリシジルメタクリレ-ト系IPNコンポジットの合成にも成功した。これらのコンポジットの剛性率と引張強度が単純混合則から予測されるよりも著しく高くなること,等を見出した。 3.その他:(1)エチルセルロ-ス/ヒドロキシプロピルセルロ-ス/アクリル酸三成分系の光学的諸性質を調べ相図を作成した。それと共に,アクリル酸の重合等によって,セルロ-ス誘導体の液晶構造が固定化された相を含む多成分多相系コンポジットの作製が可能なことを示した。(2)ニトロセルロ-ス/ポリカプロラクトン及びポリビニルアルコ-ル/ポリビニルピロリドンブレンドについて,融点降下法から高分子間相互作用パラメ-タ-(X_<12>)を求めた。また,これらの相溶ブレンド系におけるガラス転移温度の組成依存性を,Kovacs理論を用いて定式化した。
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