1990 Fiscal Year Annual Research Report
ポリカチオンおよびポリアニオンによるレクチン刺激リンパ球の幼若化促進機構の解明
Project/Area Number |
02660088
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高橋 孝雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (10024556)
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Keywords | レクチン / リンパ球幼若化 / リンパ球の生存率 / コンドロイチン硫酸 / リンパ球の表面荷電 |
Research Abstract |
コンカナバリンーA(ConA)によるリンパ球幼若化に対するコンドロイチン硫酸A(ChsーA)の作用をDNA合成および幼若化細胞出現率、細胞の表面荷電に及ぼすChsーAの影響、さらに幼若化に伴うCa^<2+>流入に及ぼすChsーAの影響などを検討し、以下に示す知見を得た。 ChsーA(167ug/ml)はsuboptimal doseのConA(10ug/ml)によるリンパ球幼若化を賦活化させた。このChsーAの濃度はLarsenらによって報告された濃度とほぼ一致した。さらに、より低濃度(42ug/ml)のChsーAが生存率の上昇および総細胞体積の増加を引き起こすことを明らかにした。ChsーAによるリンパ球の生存率上昇の機構についてはまったく不明であるが、細胞表面陰性荷電の増加と関係がある可能性も観察された。またChsーAは組織のマトリックスを構成する多糖体のひとつであり、細胞の生存、保持に適する条件を備えているのであろう。ChsーAによるリンパ球幼若化の亢進は、ConA、ChsーAの添加順序に関係なく生じたことから、ChsーAはConAの細胞表面の結合部位をマスクすることはなく、むしろ細胞表面に作用してConAの結合を強めるか、結合の仕方・分布などを変えることで低濃度のConAに反応するようにさせ幼若化に至らせたと考えられる。またDNA合成がinterleukin 2(ILー2)によってcommitされることからChsーAはリンパ球のILー2に対する反応にも作用するものと考えられる。 幼若化の初期には、一過性のCa^<2+>流入亢進が生じるがChsーAがConAによるCa^<2+>流入亢進を強めることができなかったことから、ChsーAによる幼若化の賦活化はCa^<2+>を介する生化学的反応の亢進によるものではないことが考えられる。しかし、Ca^<2+>流入については集団としての測定であり、個々の細胞また細胞質内の微小環境での変化については今後検討する予定である。
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