1992 Fiscal Year Annual Research Report
ポリカチオンおよびポリアニオンによるレクチン刺激リンパ球の幼若化促進機構の解明
Project/Area Number |
02660088
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高橋 孝雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (10024556)
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Keywords | レクチン / リンパ球幼若化(芽球化) / 芽球様細胞 / DNAポリメラーゼ / コンドロイチン硫酸A |
Research Abstract |
本年度はレクチン刺激によるリンパ球芽球様化(幼若化)におけるコンドロイチン硫酸A(Chs-A)の作用につきDNA合成、特にDNAポリメラーゼα,β,γ活性につき検討した。一方レクチンはB細胞マイトージェンとして知られているアメリカヤマゴボウ(PWM)から分離精製し、30,42,60KDaの3種を得たが、このうち60KDaについての諸性質は全く報告が見られないので、本研究においてはこの60KDaを主として用い、比較のためにT細胞マイトージェンとして知られているインゲン豆レクチン(PHA)を使用した。 リンパ球にこれらレクチンを添加後、DNAポリメラーゼα活性は著しく上昇した。特にChs-A(42μg/ml)添加では無添加に比ベ約40%増加した。これらの活性のピークはPHAでは4日目に単一のピークが、PWM 60KDaでは5日目と8日目に2つのピークが認められた。昨年度市販PWM(30,42,60KDaなどの混合物)の場合は4日目と6日目に2つのピークが観察され、今回と若干の差異が認められた。またリンパ球よりT細胞のみを分離して同様の実験を行ったところ、PHAは4日目に、PWM 60KDaは5日目のいずれも単一ピークで、Chs-A添加により前者は約30%、後者は約40%の活性増大がみられた。DNAポリメラーゼβはChs-A添加より約10%増大し、活性のピークは両レクチン共に2日目に認められ、α活性より早い時期に活性が亢進されることが見出された。γ活性についてはChs-A添加により明確な差異は認められなかった。以上のDNAポリメラーゼαおよびβの活性増大と一昨年度以来得られた結果であるChs-a添加による生存率の上昇とDNA量の増加との相関関係を現在も検討している。
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