1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660183
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅野 泰次 北海道大学, 水産学部, 講師 (60091435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 博 北海道立水産孵化工場真狩支場, 研究職員
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Keywords | サクラマス / 遺伝率 |
Research Abstract |
サクラマスの泝上系(暑寒別川)および池産系(累代池中飼育による特殊なストレイン)の親魚(雌雄各約10個体)を各々交配して得た卵および仔魚群を飼育し、卵期の生残率と仔魚期の生残率に関する遺伝率の推定を行った。交配法を雌4、雄4個体の総当り交配と、1個体の雌(または雄)に10個体の雄(または雌)を交配する半兄弟交配を用いた。遺伝率の推定はコ-ド法(Kanis et al.1976)によった。 まず、発眼期までの卵期の生残率は泝上系では0.693ー0.993、池産系では、0.684ー1.000の間で変異した。分散分析による親魚の効果は雌間、雄間分散ともいずれも有意であった。雌雄について、また、交配法ごとに遺伝率を推定すると0.030ー0.408の間にあった。遺伝率は一般に総当り交配より半兄弟交配で推定した値の方が、また、雄の遺伝率より雌についての遺伝率の方が高い傾向を示した。仔魚期の生残率は泝上系では0.530ー0.955、池産系では0.543ー0.944の範囲にあった。遺伝率の推定値は0.00ー0.46間にあり、交配法により異なる値が得られた。総当り交配より半兄弟交配で大きな値が得られ、卵期の生残率と同じ傾向であった。 推定された遺伝率が交配法によって大きく異なるケ-スがあった。それは、卵期の生残率における泝上系の雄の遺伝率、仔魚生残率における泝上系および池産系の雌の遺伝率にみられた。この相違の原因についてデ-タに遡ってみると、交配区の生残率デ-タの中に外れ値が混入していることによるもので、主に親魚の過熟、魚病による死亡、あるいはとびはねによる逃散などの実験管理あるいは飼育条件に原因するものと考えられた。このような異常値を除いた後の遺伝率の推定値は0.00ー0.20の低いレベルにあった。 また、本研究の遂行の過程において、遺伝率の推定法とその意味に関して若干の方法論的な考察を行ない発表した。
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Research Products
(2 results)