1991 Fiscal Year Annual Research Report
核外遺伝子(ミトコンドリアDNA)の遺伝的変異性による魚類の繁殖構造の解析
Project/Area Number |
02660186
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木島 明博 東北大学, 農学部, 助教授 (50161451)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / サケ科魚類 / 養殖集団 / アルカリ処理 / 制限酵素切断型 / ハプロタイプ / 塩基多様度 / 母系 |
Research Abstract |
母系遺伝をし、交叉しないとされている核外遺伝子のミトコンドリアDNAは、核内遺伝子(アイソザイム)と遺伝様式が異なることから集団の世代を越えた繁殖構造を母系の観点から捉えられる遺伝標識として期待されている。本研究はサクラマス北海道系、森支場系、ヤマメ花山系およびアマゴ岐阜系の養殖系統を対象として、ミトコンドリアDNAの簡易分析方法を確立し、制限酵素切断による遺伝的変異を検出し、集団の遺伝的変異性を調べた。 その結果、(1)グラスビ-ズを用いることによって精製度の高いミトコンドリアDNAが単離抽出できることが分かった。(2)6塩基認識の制限酵素の6種類で抽出できたミトコンドリアDNAを切断し、遺伝的変異の有無を調べたところ、サクラマス2系統とヤマメ1系統には遺伝的変異が存在し、それらは塩基の置換により起こっていると推定できた。(3)各制限酵素切断型を基にミトコンドリアDNAのハプロタイプを分析したところ、ハプロタイプ数はサクラマス2系統は7つ、ヤマメ1系統は6つ、アマゴ岐岐系は1つであった。(4)得られた結果から、集団の遺伝的変異性の指標となる塩基多様度(π)を求めたところサクラマス2系統とヤマメ1系統では0.00170から0.00253となり、天然集団に比べて大きく変異性が低下していなかったが、アマゴは単一母系に固定している可能性を示唆した。(5)これらの結果と前年度の結果を総合すると、サケ科魚類の養殖は天然に近い繁殖構造を取り、コイ科魚類は養殖場によって特徴のある母系を中心に繁殖されていることが分かった。また、系統作成や品種作成における選択は特定少数の母系を起源として行われていることが示唆できた。
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Research Products
(1 results)