1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02660202
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Research Institution | Dept. of Mar. Sci., Coll. of Sci., Univ. of the Ryukyus |
Principal Investigator |
諸喜田 茂充 琉球大学, 理学部, 助教授 (50045027)
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Keywords | アユ / リュウキュウアユ / キュウリウオ科魚類 / アイソザム / ミトコンドリアDNA / 遺伝的差異 / 系統関係 |
Research Abstract |
琉球列島産アユ(リュウキュウアユ)は、本州などのアユに比べて形態・生態のみならず遺伝子組成においても著しい特徴を有していることが最近の研究で明らかになり、分類学的にも亜種として区分されるに至った。きわめて貴重な遺伝的資源であると考えられる本亜種のアイソザイムおよびミトコンドリアDNA(mtDNA)変異を調査し、本州のアユおよびワカサギ等の近縁魚類と比較することにより、本亜種の遺伝資源特性を明らかにすることを本研究の目的とした。さらに、本亜種の人工種苗の生育・成熟など、増殖に関わる資源特性の基礎的調査を試みた。 アイソザイムに関しては今年度は、キュウリウオ科魚類5種ならびにアユおよびリュウキュウアユから得られたデ-タを、さらにいくつかの系統解析プログラムを用いて検討した。その結果、アユ属はキュウリウオ属・ワカサギ属のいずれとも特に近縁であるとは言えないことが明らかになった。 mtDNA分析については、ポリメラ-ゼ連鎖反応(PCR)法を活用した塩基配列分析法が急速に確立されてきたことに鑑み、当初予定していた制限酵素断片長多型(RFLP)分析ではなく塩基配列分析に重点を置くこととした。ND2や12SRNA遺伝子などいくつかの部位を対象に選定して、サンプルDNAの抽出法、PCR条件、適切なプライマ-の設計、直接シ-クエンスの条件、などを逐次検討した結果、いずれのDNA部位も成功裏に増幅でき、良好な塩基配列デ-タが得られることが明らかになった。 沖縄島の飼育池に導入されたリュウキュウアユの人工種苗は、成魚にまで生育したが完熟には至らなかった。本亜種の飼育環境下での再生産には、より緻密な条件コントロ-ルが必要であると考えられた。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 西田 睦: "アユの分布とリュウキュウアユ" 水産増殖. 38. 200-203 (1990)
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[Publications] 西田 睦: "分子デ-タから採る琉球列島の生物地理" 沖縄生物学会誌. 28. 25-42 (1990)
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[Publications] 西田 睦,澤志 泰正,西島 信昇,東 幹夫,藤本 治彦: "リュウキュウアユの分布と生息状況ー1986年の調査結果ー" 日本水産学会誌. 52. (1992)
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[Publications] 澤志 泰正,藤本 治彦,東 幹夫,西島 信昇,西田 睦: "琉球列島北部におけるアユの分布ならびにその遺伝的・形態的特徴" 日本水産学会誌.
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[Publications] Nishida,M.and T.Eguchi: "An electrophoretic analysis of phylogenetic relationships of the Ayu Plecoglossus." Japan.J.Ichthyol.
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[Publications] 諸喜田 茂充,吉野 哲夫,比嘉 義視: "奄美大島の河川産魚類と分布" 環境庁「南西諸島における野生生物の種の保存に不可欠な諸条件に関する研究」. 227-236 (1989)
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[Publications] Shokita,S.,Kakazu,K.,Tomori,A.& Toma,T.(ed.)Mamaguchi,M.(English ed.): "Aquaculture in Tropical Areao" Midori Shobo, 360 (1991)