Research Abstract |
自脱コンバインの脱穀部における脱穀作用を明らかにするため,市販の自脱コンバインの脱穀部部品を用いて試作した脱穀力測定装置を用いて脱穀実験を行った。その際,扱胴の各位置(供給口側から排出口側まで)における扱歯の形状,取付け状態(植付けピッチ,回転ピッチ,進み角,傾斜角),隣接する扱歯の有無による影響を調査した。なお,脱穀力測定装置には,扱胴表面とは独立しながら,扱胴と同一回転半径,同一回転速度で回転する脱穀力測定用扱歯の取付台を設け,ここに種々の形状の扱歯を取付けて脱穀力を測定した。扱歯の脱穀力としては,ねじりと曲げ,及び勘動トルクを測定した。 この装置に一定重量(約1kgf)の稲束を供給し,脱穀実験を行った。最初は脱穀力測定用扱歯のみを取り付け,他の扱歯はすべて取り除いて実験を行った。その結果,稲束が扱胴を通過する際には,一本の扱歯が6〜7回稲束を打撃し,一回の通過で全籾重量の約70%が脱穀されること,一回の打撃は約1/100秒であること,一回通過した稲束を3回測定装置に通すとほぼ100%脱粒されること等がわかった。次に,測定用扱歯の供給口側に,扱胴の植え付けピッチにあわせて扱歯を一枚追加設置し,同様の実験を行ったところ,測定用扱歯の脱穀力は,扱歯一枚だけを取付けた場合の2回目の通過とほぼ同じ値が得られた。このことから,この扱胴では,横方向の植え付けピッチの場合は,扱歯でとの打撃が独立していると考えられる,一方,回転ピッチに合わせて扱歯を設置した場合は,脱穀力測定用扱歯にかかる力は,単独の場合の数倍になった。今後は,測定したデ-タをもとにシミュレ-ションを行い,実機の場合の各扱歯にかかる力及び脱穀トルクとその変動を明らかにする。
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