1990 Fiscal Year Annual Research Report
種苗工場のプロセス化に必要な植物培養細胞の生理的計測の自動化
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02660261
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野並 浩 愛媛大学, 農学部, 助教授 (00211467)
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Keywords | 胚培養 / 種苗工場 / 水ポテンシャル / 水分生理 / 細胞計測 / プレッシャ-プロ-ブ / サイクロメ-タ / オスモメ-タ |
Research Abstract |
本年度は細胞の水分状態計測の実施と培養植物を濃度の異なった培地で育成させることによる生長の差異を検討した。 細胞の水分状態の計測のため、ムラサキツユクサを使用し、光合成と蒸散作用に関わる気孔開閉のための生理的特性について検討を行なった。このムラサキツユクサは培養の植物材料としても使われており、細胞の水分計測をプレッシャ-プロ-ブ、ナノリッタ-オスモメ-タ、サイクロメ-タを使用して計測しており、培養の植物材料の生理特性を解析することは培養に先立って無視することができない過程である。 この研究でムラサキツユクサの細胞における容存物の濃度が決定できさらに環境条件の変化に伴う細胞の水ポテンシャル、膨圧の特性がわかった。この特性は、細胞培養を行なった場合にもある程度適応できると考えられ、ここで得られた浸透ポテンシャルをもとにして培養に適した培地の濃度を決定を行なっているところであり、最適培養濃度を決定した後、培養に適した温度を決定する予定である。 さらに、本年度インゲンマメの種子から胚培養を行なった。胚培養は植物ホルモンを含まない培地を使用して行い、培養された胚は、カルス分化することなく細胞分裂と細胞伸長を繰り返し、正常な植物体を分化させた。細胞が拡大するためには細胞内に水が流入しなければならず、そのためには水源と伸長細胞間に生長に伴った水ポテンシャル勾配が存在すると思われる。本研究では、生長に伴った水ポテンシャル勾配を成熟部位と伸長部位の水ポテンシャルの差で推測した。その結果、培養植物体の伸長は生長に伴った水ポテンシャル勾配に依存していることがわかった。このことにより、種苗工場における種苗の培養および育苗のためには生長に伴った水ポテンシャル勾配を計測すれば、生長制御に役立つことがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Nonami,E.ーD.Schulze,H.Ziegler: "Mechanisms of stomatal movement in response to air humidity,irradiance and xylem water potential." Planta. 183. 57-64 (1991)
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[Publications] 野並 浩,木山 浩二,橋本 康: "水耕養液の濃度変化による水分ストレスが種苗生長におよぼす影響." 日本生物環境調節学会講演要旨集. 254-255 (1990)
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[Publications] 野並 浩,増田 俊則,橋本 康: "水耕養液に濃度変化による水分ストレスが種苗の根の呼吸および物質生産におよぼす影響." 日本生物環境調節学会講演要旨集. 132-133 (1990)
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[Publications] 野並 浩,河内 光博,橋本 康: "水分ストレスによる種苗の炭酸同化とクロロフィル蛍光の変化." 日本生物環境調節学会講演要旨集. 304-305 (1990)
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[Publications] 野並 浩,毛利 幸喜,河内 光博,橋本 康: "植物工場における生理的制御の研究(1)種苗生産における培養溶液の濃度変化が光合成および呼吸作用におよぼす影響." 日本植物工場学会要旨集. 31-32 (1990)
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[Publications] 野並 浩,木山 浩二,橋本 康: "植物工場における生理的制御の研究(2)種苗生産における培養溶液の濃度変化が細胞伸長におよぼす影響." 日本植物工場学会要旨集. 33-34 (1990)
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[Publications] Y.Hashimoto,P.J.Kramer,H.Nonami and B.R.Strain: "Measurement Techniques in Plant Science" Academic Press,Inc.San Diego,U.S.A., 431 (1990)