1991 Fiscal Year Annual Research Report
牛の早期妊娠因子(EPF)の抽出と,免疫学的測定法の開発に関する研究
Project/Area Number |
02660266
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
安田 泰久 岩手大学, 農学部, 教授 (00003749)
|
Keywords | 牛血清 / EPF / 免疫学的測定法 / 妊娠診断 |
Research Abstract |
牛の早期妊娠因子(EPF)は、妊娠2日目以降母牛の血液中に出現することから、早期妊娠診断への応用、移植した胚の生存の確認ならびに妊娠継続のモニタ-になると期待されている。そこで本研究は、牛EPFに抽出・精製を行い、得られたEPFの生化学的特性を検討するとともに、牛EPFの免疫学的測定法(ELISA)を開発する目的で実施した。 材料は、人工授精8日目のホルスタイン種1頭から全採血し、血清10lを得た。この血清のRIT値は6を示し、卵管に受精卵が存在したことから妊娠と判定した。EPFの抽出・精製は、限外濾過で10〜100kdの分画を分離,CMーSepharose Fast Flowで50mM Naclを含む緩衝液によって溶出した分画をDEAEーSepharose Fast Flowに適用した。さらに、非吸着分画をFPLCゲル濾過カラムに適用し、EPF陽性分画を採取した。EPFの生化学的検討は、各精製工程で得られた分画をSDSーPAGEによって精製度を検討し、分子量をPAGEで求め、O'Farrellの方法による等電点を求めた。さらに、抗一非妊娠血清IgGを用いてイムノブロッテングを行った。現在、抗一EPFモノクロナル抗体を作製、ミエロ-マとの融合を実施している。 その結果、EPFの分子量は21.5KDと推定された。しかし、非妊娠血清IgGと妊娠血清由来のDEAEー非吸着分画とのイムノブロッテングで22KDと21.5KDのバンドは観察されてなかった。これは、PVDF膜への転写が不充分なためと考えられ、現在再検討している。等電点は二次元電気泳動から、pH6.3と推定された。また、EPFの構造について、2ーメルカプトエタノ-ルで環元されてないことから、単量体と推測された。妊娠由来のDEAEー非吸着分画とSDSーPAGEから切り出した22KDならびに21.5KDのバンドをラットに免疫し、モノクロナル抗体のスクリ-ニング用ELISAの測定系確立を進めている。
|