1992 Fiscal Year Annual Research Report
後腸発酵動物の大腸内容物貯留機能と微生物消化との関連性に関する研究
Project/Area Number |
02660278
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂口 英 岡山大学, 農学部, 助教授 (40170584)
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Keywords | 大腸 / 微生物 / 繊維分解 / ゲッ歯類 |
Research Abstract |
大腸の繊維分解菌数に動物種間で違いがあるかどうか確かめるために,同一飼料を与えたラット,モルモット,オオミミマウスそれぞれの大腸内容物からイノキュラムを調製し,ロールチューブ法によって繊維分解菌数を測定した。同時に採取した大腸内容物中の有機酸組成を液体クロマトグラフィーによって調べ,動物間で比較した。 盲腸内セルロース分解菌数は,オオミミマウスとラットがほぼ同じで,モルモットは他の2種の動物よりも少なかった。また,生成した短鎖脂肪酸総量およびプロピオン酸量はラットが最も多くオオミミマウス,モルモットの順であった。また酢酸/プロピオン酸比はモルモットが最も高くオオミミマウス,ラットの順で動物種間差が認められた。この盲腸内短鎖脂肪酸の組成はモルモットの盲腸内発酸が繊維分解を主体としたものであることを示唆している。 前年度までの研究結果は、モルモットは非常によく発達した盲腸を持ち,明らかにラット,オオミミマウス,ウサギ,ハムスターより繊維消化率が高いことを示している。しかしながら本実験結果は,セルロース分解菌の種類と性質が他の動物に比べて特別なものではないものと見なすことができる。したがって,モルモットの繊維消化能力は大腸内での長い内容物滞留時間と共に,盲腸内セルロース分解菌数や活性が高いレベルになくても,繊維消化を効率よく行えるような,何らかのメカニズムが備わっていることが考えられる。 以上のように本研究で調べた齧歯類間の繊維消化能力の違いと,大腸内セルロース分解菌数および活性との関係は薄く,発酵部位での内容物滞留時間と流入する繊維以外の基質の種類や量が,繊維消化と関連するものと推察される。
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Research Products
(1 results)