1991 Fiscal Year Annual Research Report
αβークリスタリン蛋白の中枢神経系細胞における発現機構の解析
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02670154
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩城 徹 九州大学, 医学部, 講師 (40221098)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 潤 九州大学, 医学部, 教授 (70033305)
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Keywords | αβークリスタリン / アレキサンダ-病 / 熱ショック蛋白質 / 遺伝子解析 / 発現調節 / 免疫組織化学染色 |
Research Abstract |
平成2年度にαβークリスタリンのmRNAの構造を解析し,そのcDNAとgenomic DNAの塩基配列を決定したので,そのデ-タをもとに以下の実験を行った。1)ラットのαβークリスタリン遺伝子の5'上流領域をCAT遺伝子につなぎC6細胞に導入してCATアッセイを行なったところ,転写開始点より-342から-52の間に,効率よく転写するのに必要な配列があることがわかった。2)しかしながら,このDNAをヒトグリオ-マ細胞に導入した場合,αβークリスタリンの発現量の多い訛ー373MG細胞と発現量の少ないUー251MG細胞とで,CATアッセイの結果はほとんど変わりがなかった。従ってヒトでは別の領域がαβークリスタリンの発現に必要であるか,あるいはUー373MG細胞では全く別のメカニズムでαβークリスタリンの発現が亢進している可能性がある。3)αβークリスタリンの異常蓄積をおこすアレキサンダ-病の脳よりDNAを抽出し,αβークリスタリン遺伝子の構造異常の有無をPCR法を用いて検討した。そのコ-ディング領域と5'上流に存在する調節領域には変異が認められず,アレキサンダ-病脳におけるαβークリスタリンの発現亢進とその蓄積は,この疾患のグリア細胞に異常に亢進したストレス反応が起っている結果と考えられた。次いで,αβークリスタリンに対する特異抗体を用いた免疫組織化学染色法にてこの蛋白質の疾患脳における分布を調べた。その結果,αβークリスタリンはロ-ゼンタ-ル線維の構成成分であるばかりでなく,反応性グリアやある種の痴呆疾患脳のニュ-ロンにおいてその発現が亢進していることが分かった。脳腫瘍ではグリオ-マのうち,アストロサイトへの形態分化を示した腫瘍成分により強い発現がみられ,特に上衣下巨細胞性星膠腫において陽性所見が強く,結節性硬化症とこの蛋白質の発現に何らかの因果関係がある事が示唆された。以上αβークリスタリンの脳内での発現機構の解析とストレス蛋白質としての役割を検討した。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tomokane,N.: "Rosenthal fibers share epitopes with αβーcrystallin,glial fibrillary acidic protein,and ubiquitin,but not with vimentin.Immunoelectron microscopy with colliidal gold." Am.J.Pathol.138. 875-885 (1991)
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[Publications] Iwaki,T.: "Preferential expression of αβーcrystallin in astrocytic elements of neuroectodermal tumors." Cancer. 68. 2230-2240 (1991)
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[Publications] Iwaki,T.: "Immunohistochemical demonstration of alpha Bーcrystallin in hamartomas of tuberous sclerosis." Am.J.Pathol.139. 1303-1308 (1991)
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[Publications] Iwaki,T.: "Accumulation of αβーcrystallin in central nervous system glia and neurons in pathologic conditions." Am.J.Pathol.
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[Publications] Iwaki,A.: "Biological Aspects of Brain Tumors." SpringerーVerlag Tokyo, 6 (1991)