1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02670155
|
Research Institution | Saga Medical School |
Principal Investigator |
杉原 甫 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50039509)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 修二 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (80188755)
|
Keywords | 肥満 / 脂肪細胞 / 増殖 / 分化 / 遺伝子 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
肥満とは生体の脂肪組織量の過度の増加であり、脂肪組織を構成しているものは、殆んどが脂肪細胞であるので、脂肪細胞の肥大、増殖、あるいは、この両者が、肥満の場合に起っているものと考えられる。 脂肪細胞の肥大、即ち細胞質内中性脂肪量の増加は従来より生化学的に研究されてきたものの、脂肪細胞の増殖機構については殆んど検討されていない。今回は、この脂肪細胞の増殖に際して、どのような遺伝子の発現がみられるかについて検討した。遺伝子としては、まずmyc,ras,及びneu(erbBー2)遺伝子をとりあげた。これらは、いずれも、癌遺伝子といわれるものであるが、同時に又、その原型遺伝子は正常の組織・細胞の成長と増殖に関与している。作料は細胞増殖が最も活発に起っている新生児期のラット及びヒトの皮下脂肪組織であり、検索方法は、前記遺伝子の産物に対する抗体を用いての免疫組織化学である。その結果、核内転写に関与しているmyc遺伝子の発現はなく、細胞膜直下にあってグアニンヌクレオシド蛋白に関与しているras遺伝子の発現は弱かった。しかし、受容体類似のチロシン特異的蛋白質キナ-ゼに関与しているneu遺伝子の発現が明瞭にみとめられた。そこで、neu遺伝子の発現を、ラット及びヒトの正常成熟個体、更にラット、マウス、ヒトの肥満個体について、脂肪組織の免疫組織化学によって調べた所、肥満個体については、弱陽性であった。しかし、正常(非肥常個体)との間に、明瞭な相違を認め得なかった。このことは、肥満者の脂肪細胞は、既に増殖を終えているものと考えられる。次に、培養条件下の脂肪細胞について、neu遺伝子産物の発現を検討した。まず再構築皮膚における皮下脂肪組織では、軽度ではあるが、neu遺伝子の発現がみとめられた。ただ、脂肪細胞単再での培養、及び肥満個体から得た脂肪細胞の培養の場合の検討は行なったが、確実が結果が得られなかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 杉原 甫: "成熟脂肪細胞の増殖と分化" 臨床科学. 26. 981-986 (1990)
-
[Publications] H.Sugihara: "Reconstruction of the Skin in ThreeーDimensional Collagen Gel Culture." In Vitro,Cellular and Developmental Biology. 27A. 142-146 (1991)
-
[Publications] H.Sugihara: "Proliferation of Unilocular Far Cells Differentiated from Preadipocytes." Progress in Obesity Research1990(Proceedings of the 6th International Congress of obesity). 177-200 (1991)
-
[Publications] 杉原 甫: "培養条件下で再構築した皮膚における成熟脂肪細胞の観察:単胞性脂肪細胞よりのsmall fat cellsの出芽と増殖" 第12回日本肥満学会記録. (1992)