1990 Fiscal Year Annual Research Report
上皮系細胞におけるEBウイルス増殖による細胞融合機構の解析
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02670193
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 博 金沢大学, がん研究所, 助手 (00115239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝元 徹 金沢大学, 医学部, 講師 (60143905)
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Keywords | EBウイルス / 細胞融合 / 末端反複配列 / 上咽頭癌 |
Research Abstract |
上咽頭癌由来上皮系細胞株NPCーKTよりサブクロ-ニングしたBBウイルス高産生性のcl.S61細胞はEBウイルス産生時にヘルペスウイルス増殖に特徴的な細胞融合、封入体形合などの細胞変性効果を呈する世界で唯一の細胞株である。EBウイルスによるこれら細胞変生効果は臨床面でも興味深いものであるが、同時に細胞融合現象はEBウイルスのウイルスレセプタ-不在の細胞への感染機構としても注目されている。すなわち上咽頭癌発症には上皮系細胞へのEBウイルス感染が深く係わっていると考えられているが上皮系細胞表面にEBウイルスレセプタ-は確認されずその感染機構は不明であるが細胞融合を介しての感染の可能性も指摘されている。ウイルス遺伝子DNA末端反復配列を細胞およびウイルスのクロ-ナリティ-のマ-カ-として種々のEBウイルス産生細胞について検討した結果、ウイルス遺伝子DNAは環状DNAとして安定に保持されるために、末端反復配列はcl.S61細胞を除くすベてのEBウイルス産生細胞において、常に一定のコピ-数を維持していた。これらの細胞より産生されるウイルス粒子中の線状はDNAは、環状DNAから線上DNAを合成する過程で、不均一なコピ-数の末端反復配列を持ち、感染により再び環状化した際には不均一な末端反復配列を持つようになる。cl.S61細胞では、他のウイルス産生細胞と異なりウイルス増殖による細胞融合の結果、ウイルス感染に対応するような不均一な末端反復配列を有する環状DNAが出現し以後安定な環状DNAとして保持される。この結果は、ウイルスレセプタ-を有しないcl.S61細胞においては細胞融合によるウイルス再感染の可能性を強く示唆するものであり上皮系細胞への感染機構を研究するうえで極めて重要な知見である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kevin Gillgan: "Novel Transcription from the EpsteinーBarr Virus Terminal EcoRI Fragment,DIJhet,in a Nasopharyngeal Carcinoma" Journal of Virology. 64. 4948-4956 (1990)
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[Publications] Hiroshi Sato: "Concatemeric Replication of EpsteinーBarr Virus: Structure of the Termini in VirusーProducer and Newly Transformed Cell Lines" Journal of Virology. 64. 5295-5300 (1990-)