1990 Fiscal Year Annual Research Report
肝組織培養によるヒト伊東細胞の分離法についての研究
Project/Area Number |
02670316
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
中野 博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60093283)
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Keywords | ヒト伊東細胞 / 分離 / 組織培養法 / 三層比重遠心法 |
Research Abstract |
手術時得られた切除肝より比較的簡単に、しかも大量のヒト肝伊東細胞を分離する方法を確立した。 1.方法:切除肝を細切し組織培養を行うと切片周囲に種々の細胞が増殖する。この細胞を8,13,18%metriamide溶液の三層比重遠心で上層、中層の境に集まる伊東細胞を多く含む細胞について伊東細胞の同定を行なった。伊東細胞の同定は光顕、電顕による形態学的検討、細胞内vitaminA含有脂肪滴の確認、retinol添加培養系でのretinolの取込にて行なった。また細胞中のdesmin陽性物質の存在を検討するため、培養細胞につきdesminに対する単および多抗体を用いてperoxidase antiperoxidase法による免疫組織化学的に染色を行なった。 2.成績:(1)形態学的観察;三層比重遠心法により分離した細胞は光顕的には扁平、多足状で突起で互いに連なる。細胞内脂肪滴は培養組織周辺に伸展する細胞内には多数認められるが分離後には極く少数の細胞内にのみ認めない。電顕的には細胞内脂肪滴の存在、粗面小胞体の発達が特徴的でこれらの形態は従来から報告にあるヒトの伊東細胞について形態と極めて類似であった。(2)VitaminA蛍光の証明;蛍光顕微鏡下波長330nmの条件下で淡い蛍光が脂肪滴に一致して認めた。(3)Retinolの取込;retinol添加培養3日後には約80%の細胞内にvitaminAを含む脂肪滴の出現が見られた。(4)細胞内desminの証明;2ー4代継代培養した細胞内には核を中心にに拡がるdesmin陽性物質の存在が確認された。またこの方法では肝切片500mgから大略10^6個の細胞の採取が可能である。 3,総括:ヒト伊東細胞を大量に分離する方法の報告は未だない。今後はこの方法にて分離したヒト伊東細胞を用いてヒトの肝線維化の機序を明らかにして行きたい。
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Research Products
(1 results)