1990 Fiscal Year Annual Research Report
パ-キソン病における内側前脳束,特にノルアドレナリン系の役割に関する実験的研究
Project/Area Number |
02670371
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute for Neuroscience |
Principal Investigator |
横地 正之 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経学研究部門, 副参事研究員 (20053142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 英人 (財)東京都神経科学総合研究所, 神経学研究部門, 非常勤研究員
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Keywords | パ-キンソン病 / 無動 / 内側前脳束 / 動物モデル / 線条体 / カテコ-ルアミン |
Research Abstract |
パ-キソン病を念頭において無動の動物モデル作成を目的にネコの脳局所の電気凝固破壊による障害モデルを作成した。破壊標的は両側の内側前脳束で視床下部中央外側部位を選択した。このモデルネコについて神経行動学的解析と死後脳の局所カテコ-ルアミンの定量を行った。 現在までに得られた結果は当該ネコに意識障害はなく、REM,non REM睡眠とも減少し、要素的運動障害を認めないことなどが確認された。これらの事実を背景にケ-ジ内を無拘束としたネコのビデオ記録による画像解析結果から単位時間当りの運動有が著減していることが確認された。症状観察では要素的障害が無いため高位からの着地に問題なく、歩行そのものに障害を認めない。しかし一度立ち止まるとその位置にそのままの姿勢で留まる。また居心地が良くないであろう状況をも甘受してじっとしている。さらに表情が乏しくなる。以上はヒトパ-キンソン病を思い起こすとき相似的な印象を与えるもので極めて興味深い。 犠牲脳に関する分析の結果、前脳腹内側の諸該および尾状核のド-パミンの著しい低下と前頭葉皮質のノルアドレナリンの減少が認められる一方被殻のド-パミンの低下が僅かであることが確認された。このことはモデルネコの症状が被殻機能障害に依るものではなく、尾状核と前頭葉機能障害に依るものであることを物語っている。 これを症状および行動解析結果と併せて考えるならば本実験は無動の本態解明に寄与する結果を得ていると思われる。さらに線条件における尾状核と被殻の機能分担を示唆する一つの重要な事実となる可能性がある。この実験からは被殻の障害は固縮や巧ち運動障害に関係し、尾状核の障害はbradyphreniaを含む無動を惹起していることが示唆される。 現在標的部位の薬物によるspecificな刺激効果と破壊実験を行うとともにデオキシグルコ-ス法による局所脳代謝の定量測定を開始した。
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