1990 Fiscal Year Annual Research Report
小児がん診断のためのmyc系がん遺伝子産物定量法の開発
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02670465
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
嶋武 博之 東邦大学, 医学部, 助教授 (40010110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 継稔 東邦大学, 医学部, 教授 (50057585)
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Keywords | 小児癌 / Nーmycタンパク / 抗Nーmyc抗体 / 抗ーpanーmyc抗体 / 神経芽腫 / 網膜芽腫 / ELISA法 / 大腸菌内融合蛋白発現システム |
Research Abstract |
本研究はmyc系がん遺伝子の一つであるNーmycタンパクの免疫学的定量法を、平成2,3年度の2年間に開発し、神経芽腫のマススクリ-ニングなどに適用するための検討を行なうものである。このような全体的な目的の中で、本年度はNーmycタンパクの免疫学的定量法に必須な道具、1.Nーmyc特異抗原,2.panーmyc特異抗原,3.N・panーmycと融合蛋白,4.Nーmyc特異抗体,ならびに5.panーmyc特異抗体の5つを作製した。 1については、mycファミリ-の中でNーmycに特異的な領域(Gly161ーSer245)を選択し、遺伝子DNA上の相当する部分を大腸菌発現べクタ-(bcA200)に組換え、熱誘導によりNーmyc特異領域を含んだ融合タンパクの大量生産を試みた。その結果、Nーmyc特異領域を三重連(three tandem repeats)に組込んだ組換体において、安定した量のNーmyc特異抗原(分子量=39.6K)を得ることが出来た。2では、mycファミリ-に共通の領域をpanーmyc領域(Ser347ーCys456)として選択し、1.の場合と同様の方法でpanーmyc特異抗原の作製を試みた。この場合は、repeatsなしの組換体で安定なpanーmyc特異抗原(分子量=28.5K)が得られた。3.はNーmyc特異領域を含んだ組換え体に、更にpanーmyc領域を組込んで、同様にN・panーmyc融合タンパクの作製を試みた。この場合も2と同様、repeatsなしの組換体で、安定なN・panーmyc特異抗原(分子量=52.1K)を得ることができた。このN・panーmyc融合抗原を、Nーmycタンパクの免疫定量のための標準物質として用いることにより、抗Nーmyc抗体と抗panーmyc抗体の両方を用いた、高感度で特異性の高いサンドイッチ型のELISA法を確立するための準備が整ったことになる。 4,5の抗体については、単離精製した各抗原を各々家兎に免疫して、各々に特異的ポリクロナル抗体を得た。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hiroyuki Shimatake: "A relationship between embryonal and tumour Nーmyc protein expression as revealed by anti Nーmyc protein antibody" Clin.Chem.Enzym.Comms. 2. 227-234 (1990)
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[Publications] Hiroyuki Shimatake: "The Nーmyc protein is expressed heterogeneously among the same cell populations of neuroblastoma" Tumor Marker. 5. 38-41 (1990)
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[Publications] 嶋武 博之: "Radioanalytic Imaging Systemの感度に関する検討ー特にオ-トラジオグラフィとの比較検討ー" 東邦医学会雑誌. 37. 14-20 (1990)
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[Publications] 中川 千鶴: "抗ヒトNーmyc蛋白抗体" 日本臨床 1990年増刊. 48. 942-945 (1990)
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[Publications] 進藤 彦二: "各種抗ガン剤による神経芽腫培養細胞のNーmycがん蛋白の発現量の増加:細胞周期とがん蛋白発現量のFACS解析" 小児がん. 27. 305-307 (1990)
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[Publications] 小沢 安文: "マススクリ-ニング検査で発見されず、opsoclonusーpolymyoclonia syndromeで発症した神経芽腫の一例" 小児がん. 27. 380-382 (1990)