1991 Fiscal Year Annual Research Report
被曝歴を有する細胞の染色体にみる放射線感受性の変化についての研究
Project/Area Number |
02670489
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松原 升 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (40014120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 悦夫 東京医科歯科大学, 医学部, 助手 (20220303)
渋谷 均 東京医科歯科大学, 医学部, 助教授 (10014292)
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Keywords | 染色体異常 / 放射線感受性 / 被曝歴 / 末梢リンパ球 / 放射線治療 |
Research Abstract |
放射線治療を受けた患者の未梢血を用いて,以前に放射線被曝を受けたリンパ球が再度被曝した場合の放射線による染色体異常誘発の感受性が非被曝者のリンパ球染色体のそれと比較して差異が存在するかどうかを調べた。In vitroの照射はテレコバルトを用い,0.05Ggから40Ggまで種々な線量を照射し,また,照射を受けたことのない例でも同様な照射を行い比較した。照射対象は4群に分けた。(1):非被曝健康青年の血液での放射線誘発染色体異常の線量効果関係,(2):腫瘍が小さく全身状態に影響を及ぼしていない患者あるいは術後照射患者の血液における放射線誘発染色体異常の線量効果関係,(3):放射線治療終了後25年以内の無再発例の血液での放射線誘発染色体異常の線量効果関係,(4):放射線治療終了後10年以上無再発で経過した症例の血液での放射線誘発染色体異常の線量効果関係。 放射線治療前の患者での染色体異常頻度は非被曝の健康青年のものよりはやや高く,放射線治療前における放射線診断の影響によるものと考えられた。放射線治療終了後25年以内の症例の血液を用いた場合,in vitro放射により生ずる染色体異常頻度は照射を受けていない者の血液における頻度より高く,特に,細胞当り染色体異常頻度の高い細胞の割合が多くなる傾向が認められ,放射線誘発染色体異常を既に有するリンパ球は再度の放射線被曝に対する感受性が亢進していることが示唆された。 しかし,放射線治療後10年以上経過した症例ではそのような染色体異常誘発の亢進は認められなかった。原因としては放射線治療後長年経過すると染色体異常を有するリンパ球は大部分死滅し,新しい細胞に置き換るために放射線感受性ももとに戻ることが考えられた。この所見は照射された非再生,組織では傷害の排除が出来ず蓄積されるために,再照射の際の放射線抵抗性が低下するという考え方に一致する。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 松原 升,山崎 悦夫,渋谷 均,堀内 淳一,鈴木 宗治: "放射線治療患者における末梢リンパ球染色体の放射線感受性" 日本医学放射線学会雑誌. 50. 27 (1990)
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[Publications] 松原 升,山崎 悦夫,松本 悟,渋谷 均,鈴木 宗治: "放射線誘発性染色体異常生成に及ぼす、放曝歴の影響" 日本放射線影響学会(第33回大会)講演要旨集. 276 (1990)
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[Publications] Sho Matsubara,Etsuo Yamazaki Satoru Matsumoto,Hitoshi Shibuya Soji Suzuki: "Chromosome alernation frezueneies indnced By repeated in vitro irradiation to lymphocytes from patients receined previous radiotherapy."