1990 Fiscal Year Annual Research Report
βーヒドロキシヒスチジンの臨床応用のための基礎的研究
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02670521
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
中嶋 照夫 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (00028391)
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Keywords | βーヒドロキシヒスタミン / βーヒドロキシヒスチジン / βーヒドロキシヒスタミンの生成 / ヒスタミン受容体 / ヒスタミン受容体との結合 / ヒスタミンアゴニスト |
Research Abstract |
βーヒドロキシヒスタミンはその構造からヒスタミン類似の生物活性を有すると推察されるが、R及びS型の分割がなされておらず、確証はえられていなかった。このアミンの前駆物質と考えられるβーヒドロキシヒスチジンをラットに投与し,βーヒドロキシヒスタミンを生成させることにより、生体のヒスタミン活性を操作できるか否かを檢討し、βーヒドロキシヒスチジンの臨床応用のための基礎的知見を提供しようと考え実驗を行った。得られた知見は以下の如くである。 1)DLースレオ及びエリスロ-βーヒドロキシヒスチジンをラットの腹腔内に投与し、各臓器におけるβーヒドロキシヒスタミンの生成を檢討した。βーヒドロキシヒスタミンは全ての臓器で檢出されたが,胃で最も高濃度に檢出された。生成に関与する酵素を胃から精製し、その性質を檢討した結果、Lーヒスチジン脱炭酸酵素であることが判明した。しかし、酵素の阻害剤を投与して生成阻害の度合を檢討したところ、脳では非特異的芳香族Lーアミノ酸脱炭酸酵素も関与していると考えられた。 2)R及びSーβーヒドロキシヒスタミンとヒスタミン受容体との結合を放射性リガンドの結合との競合で檢討した。R及びS体共にヒスタミン受容体(H_1及びH_2)に強く結合し、立体特異性は認められなかった。また、ヒスタミン受容体刺激時のCAMP産生を檢討したところ、ヒスタミンによる刺激と同程度の産生が認められたが、R体の方がS体の場合より産生が多い傾向がみられた(この実驗に購入した恒温振盪機を使用した)。 3)中枢神経系のヒスタミン神経細胞は覚醒時に特異的に発火することが報告された。したがって、購入予定の放射迷路を用いる弁別学習実驗を中止し、位置移動(locomotion)実驗を行うことにした(既設のアニメックスを使用)、現在実驗を進めているところである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Kamimura,T.Hasegawa,T.Nakajima: "Formation of βーhydroxyhistamine from βーbydroxyhistidine in rat organs and characterijation of its synthetic enjyme prepared from rat stomach" Biomedical Research. 10,Suppl.3. 241-250 (1989)
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[Publications] 長谷川 武史,橋本 泰道,佐藤 伸介,川瀬 秀明,中嶋 照夫: "βーヒドロキシヒスタミンのヒスタミン受容体に対する作用" 神経化学. 29. 380-381 (1990)
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[Publications] 長谷川 武史,川瀬 秀明,佐藤 伸介,橋本 泰道,竹田 仁,中嶋 照夫: "βーヒドロキシヒスタミンのヒスタミン受容体との結合について" 第20回日本神経精神薬理学会発表要旨集. 75 (1990)