1990 Fiscal Year Annual Research Report
グリオ-マ由来変異原性蛋白に関する基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
02670632
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
竹下 岩男 九州大学, 医学部, 助手 (10117153)
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Keywords | GdーPDGF / ruffling membrane / actin / 56Kd |
Research Abstract |
グリオ-マ細胞培養液中の変異原性蛋白の検索 1)ヒトグリオ-マ細胞株KNSー42を無血清培養液で培養したCdーDEMには、線維芽細胞,血管内皮細胞,およびグリオ-マ細胞の分裂増殖を促進する物質が含まれていることを確認した。 2)CdーDEMを分子量2万でカットし、2万以下の分画を家兎に免疫し抗体を作製した。この抗体が認識する抗原は、いろいろあるが、56Kd抗原に着目した。なぜなら、抗56Kd抗体は、細胞内の17Kdと反応し、この17Kdは、また抗PDGFーBモノクロナ-ル抗体でも認識されたからである。 3)抗GdーPDGF抗体 無血清培養液から56Kd蛋白の精製は困難だったため、細胞内17Kd蛋白を抽出し、家兎に免疫した。この抗体は細胞外の56Kd蛋白とも反応することを確認した。この抗体の認識する抗原は、抗PDGF抗体とも反応することから、グリオ-マ由来PDGF(GdーPDGF)に対する抗体である。 4)GdーPDGFの生物活性 抗GdーPDGFの認識する抗原は、無血清培養液中には56Kdのみであった。また細胞内から抽出した17Kdは、ただちに56Kd蛋白に転換した。56Kd蛋白を培養液に加えることにより、グリオ-マ細胞や線維芽細胞のruffling membrane形成を促進し、かつアクチン線維の再分布を惹起した。PDGFも同様の作用があり、56KdGdーPDGFは、グリオ-マ細胞が産生する変異原性物質のなかのひとつと思われる。
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Research Products
(1 results)