1990 Fiscal Year Annual Research Report
泌尿器科手術における回収式自己血輸血方法の応用に関する実験的研究
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02670704
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
朴 勺 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (60127032)
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Keywords | 泌尿器科手術 / 術中回収式自己血輸血 / 赤血球と尿の分離 / 赤血球と細菌の分離 / 赤血球と腫瘍細胞の分離 |
Research Abstract |
泌尿器科手術における術中回収式自己血輸血方法は、尿が混じった吸引液から尿成分を分離できるかどうかという問題、感染尿による細菌汚染の場合、赤血球と細菌を分離できるかどうかという問題、それに癌患者の手術において、吸引液に癌細胞が混じる可能性があり、赤血球と癌細胞を分離できるかどうかといった問題がある。 これらの問題点を検討すべく、今回、以下のごとくの実験をおこなった。 1.実験方法。(1)血液と尿の分離について:血液と尿を混ぜ、術中回収式システムであるCell Saverで赤血球を分離し、生理食塩水で洗浄して濃厚赤血球液として返血バッグに回収した。尿と回収した濃厚赤血球液を生化学的に検討した。(2)細菌の分離について:尿に菌液をいれ、菌数を調整後血液を混ぜ、Cell Saverで処理して回収できた濃厚赤血球液の細菌学的検査をおこなった。用いた菌株は4種類であった。(3)腫瘍細胞の分離について:用いた細胞種は、ヒト膀胱癌由来のKK47と、ヒト腎細胞癌由来のACHNで、血液と尿を混ぜたのち、10^7個の腫瘍細胞浮遊液を混ぜた。Cell Saverで処理して回収した濃厚赤血球液について、PapanicolaouおよびGiemsa染色で細胞成分の検討をおこなった。 2.結果。(1)尿中で高値であった尿素窒素、クレアチニン、リン、それに尿酸は、回収した濃厚赤血球液中ではほぼ完全に除去されており、また、尿中のカリウムとカルシウムも濃厚赤血球液中では低下していた。(2)4種類の細菌は、それぞれの濃厚赤血球液すべての検体で検出された。(3)2種類の癌細胞は、それぞれの濃厚赤血球液の検体ですべて検出された。今回の検討結果から、術野に細菌尿や腫瘍細胞が混入する可能性があれば、術中回収式自己血輸血は禁忌と考えられた。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] 朴 勺,横江 昌明,小島 修,友吉 唯夫,茂篭 邦彦,立脇 憲一: "泌尿器手術における術中回収式自己血輸血:血液と尿の分離" 自己血輸血. 3. 108-112 (1990)