1990 Fiscal Year Annual Research Report
金銀パラジウム合金および銀合金の鋳巣に起因する変色・曇りの発現と改善策の検討
Project/Area Number |
02670869
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
小園 凱夫 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (90047811)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田島 清司 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (60155075)
佐藤 義輝 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (00205981)
横山 有紀 九州歯科大学, 歯学部, 助手 (40220579)
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Keywords | 金銀パラジウム合金 / 銀合金 / 変色 / 曇り / 鋳巣 |
Research Abstract |
歯科用金銀パラジウム合金および銀合金はその組成上,鋳巣の発生を招きやすい合金であり,臨床においても鋳巣を内部に伴った鋳造体が知らずに使用される機会は多にものと思われ,このような鋳巣を表面層に持つ可能性のある鋳造体の変色・曇りは臨床の観点からも興味深いものと思われる.本研究では,鋳巣の発生を招きやすい金銀パラジウム合金および銀合金において,鋳造体表面層の鋳巣の存在状態と鋳造体表面の変色・曇りの発生状況との関連性を明らかにしようとするものである. 市販の金銀パラジウム合金および銀合金を用いて鋳造作製した板状鋳造体に対して研磨を施した後,硝酸+アルコ-ル溶液で3日間浸漬しその表面状態を観察した.鋳造体は鋳型温度を変え,鋳巣がほとんど存在しない場合と鋳巣が多く存在する場合の2種類とした. 銀合金では,鋳巣がみられない鋳造体には,浸漬後肉眼的ならびに金属顕微鏡的に表面の曇りは見られなかった。しかし,鋳巣がみられた鋳造体表面には曇りがみられるようになり,鋳巣の存在が曇りの発生を助長する傾向が示唆された.また,浸漬前にみられた鋳巣の回りには新たに鋳巣の出現が確認され,腐食により鋳巣の表面化への出現が促進されるような傾向が確認されると同時に,鋳巣の回りの曇りの状況にも差がみられた.1方,金銀パラジウムについては,浸漬液が適当でなかったためあるいは期間が短時間であったためかと思われるが,銀合金のような傾向は確認できなかった. 以上のように,3日間と短時間ではあったが,銀合金では鋳巣の存在が曇りの発生を助長することが確認され,表面下に存在する鋳巣と変色・曇りの発生状態の関連性の存在が示唆された.
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