1991 Fiscal Year Annual Research Report
放射線照射および抗癌剤による癌抗原のshedding抑制と治療効果について
Project/Area Number |
02670885
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水越 孝典 北海道大学, 歯学部附属病院, 講師 (10113630)
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Keywords | 放射線照射 / 抗癌剤 / 腫瘍関連抗原 |
Research Abstract |
これまで放射線による腫瘍細胞膜面の抗原表現の変化についての検討を行い、抗原表現の変化と抗腫瘍免疫活性誘導との関連性を明らかにしてきた。今年度は各種抗癌剤処理によるCE7抗原表現の変化ならびにCE7抗原のshedding抑制機序について検討を行った。 1.in vitro抗癌剤処理によるCE7抗原表現の変化について検討した。すなわち、cーKMT17 clone A3細胞1X10^6/10ml/dish播き培養2日目の対数増殖期にMitomycineーCでは50、100μg/ml 1時間処理、Bleomycinでは1.25〜20.0μg/ml 2時間処理、Cyclophosphamideでは1.0〜10μg/ml 2時間処理を行い、経日的に細胞膜面のCE7抗原量をFCMにて検索した。その結果、いずれの抗癌剤においても一定以上の濃度であればCE7抗原のsheddingは抑制され細胞膜面のCE7抗原表現が増強された。 2.抗癌剤処理によるCE7抗原表現増強の機序を知るために培地に添加するFCS濃度を1%〜10%まで変化させこれらの細胞膜面に表現されるCE7抗原量をFCMにて測定した。この結果、添加FCS濃度の減少に従って細胞の増殖速度(倍加時間)は遅延し、同時にCE7抗原量の増加が認められた。また、10%FCS添加培地で対数増殖中のA3細胞を4℃cold room内で培養、12、24時間後の生細胞数とCE7抗原量を測定した。この結果、生細胞数の変化は認められず増殖が抑制され、CE7抗原量も変化していなかった。 3.10%FCS添加培地中のA3細胞のCE7抗原の局在を免疫組織学的およびwestern・blotting法にて検索した結果、細胞質内に多くのCE7抗原が存在していた。 以上の結果より、10%FCS添加培地中のA3細胞はCE7抗原を産生し細胞内に貯留させ、これを順次vesiclesとともに膜面よりsheddingしていることが推察された。また、抗癌剤処理によりvesiclesの産生をも含めた細胞の代謝が抑制されCE7抗原のsheddingが抑制され膜面の表現が増強されたことが推察された。
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