Research Abstract |
宮城県の仙南医療圏、仙台医療圏、県北医療圏、石巻医療圏、気仙沼医療圏の5つの2次医療圏、および、奈良県の北和医療圏、中和医療圏、南和医療圏3つの2次医療圏につき入院患者の疾病別市町村間流動から評価を行った。資料として用いたのは各県が昭和60年に行った患者調査のデ-タファイルである。検討した疾病は、宮城県については、新生物、精神障害、脳血管疾患、呼吸系の疾患、消化系の疾患、筋骨格系及び結合組織の疾患、骨折の7疾患、奈良県については、新生物、精神障害、消化系の疾患、損傷及び中毒の4疾患である。これらの疾患は、いずれも入院患者数が千名程度以上のまとまりのある疾患である。これらの疾病別の圏域別入院自足率を上記の8つの2次医療圏毎に算出すると、仙南(51,58,77,76,86,70,89)、仙台(100,97,99,99,100,98,99)、県北(53,65,87,84,85,78,87)、石巻(49,77,85,80,94,66,89)、気仙沼(81,94,96,93,96,93,99)、北和(93,86,96,94)、中和(69,55,88,81)、南和(49,27,70,76)であった。以上の括孤内の数値は、各々先に挙げた疾患別の入院自足率(単位%)である。これらの数値から、高次の医療機能を必要とする新生物について、医療機能の地域集積性を高める為の地域偏在があることが明らかである。また、精神病床の地域偏在も顕著である。これらのことから、2次医療圏といっても、仙台や北和のように全ての疾患にわたり90%以上の自足率を示す謂わば「2.5次」医療圏と、気仙沼や中和のようにほぼ全ての疾患にわたり70%以上の自足率を示す「2次」医療圏と、その他の医療圏のように新生物のような疾患に対しては50%程度の自足率を示す「1.5次」医療圏の3種があることがわかった。
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