1990 Fiscal Year Annual Research Report
大規模な検査情報を活用した新しい下垂体・甲状腺系異常症の探索とその病態解析
Project/Area Number |
02671068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市原 清志 大阪大学, 医学部, 講師 (10144495)
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Keywords | thyrotropin / thyroxin / epitope analysis / computer analysis / immunoassay / bioassay |
Research Abstract |
1年間の甲状腺機能検査デ-タベ-スより7800例を取り出し、TSHとFT4の平面散布図を作成した。そして、その95%の信頼区間を示す棄却楕円の外にあるデ-タの内、両値がともに高値のもの77例を選び、分析対象例とした。まず臨床的特徴につき解析すると、小児例が55例を占め、甲状腺ホルモン補充中のクレチン症例が30例で、他は乳幼児例で、その多くが乳児一過性高TSH血症例であった。ここで両ホルモン値は小児期高値の年齢差を示すため、一般乳幼児の分布と、抽出例の分布を比較したところ、やはり後者の偏りは有意と考えられた。一方残る成人22例では、甲状腺癌術後例、バセドウ病のRI治療後などが多かった。次に、各症例の数年間のデ-タの経時的な変化を調べたところ、クレチン症例や手術後・RI治療後の症例では持続性であったのに対し、他の多くは一過性であった。 一方これらの症例のTSHの構造的な異常の有無を見るため、TSHの高感度バイオアッセイとして、FRTL細胞を用いた測定系を確立し、血清3mlで1μU/mlまで測定可能とした。これを使い、まず乳児一過性の高TSH血症の症例について、TSHの生物活性と免疫活性を比較測定したところ、解離例を認めなかった。現在より低濃度での測定を可能にするため、磁性体固相化の抗TSHモノクロ-ル抗体でTSHを濃縮すること検討中である。 またTSH分子のエピト-プ解析のため、7種のモノクロ-ナル抗体を使った測定系を確立し、予備検討として、遺伝子組み替えで作成したTSHの解析に応用した。その結果、同TSHの生物活性は、下垂体性の標準TSHと差がないものの、TSHα鎖の1つのエピト-プに免疫活性の相違を認めた。これから、この解析系を利用することで、本研究の目標とする、新しいTSHの構造異常の発見も可能と考えられた。
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[Publications] 市原 清志: "日常検査情報を利用した病態生理機能のプロフィ-ル化" 臨床病理. 特83. 39-53 (1990)
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[Publications] Kashiwai T.et al.: "The stability of immunological and biological activity of human thyrotropin in buffer:its temperature dependent dissociatio into subunits during freezing" Scan.J.Clin.Lab.Invest.(1991)