1991 Fiscal Year Annual Research Report
大規模な検査情報を活用した新しい下垂体・甲状腺系異常症の探索と病態解析
Project/Area Number |
02671068
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市原 清志 大阪大学, 医学部, 講師 (10144495)
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Keywords | thyrotropin / free thyroxin / epitope analysis / computer analysis / immuno assay |
Research Abstract |
大規模な甲状腺機能検査デ-タベ-スから、下垂体ー甲状腺系のフィ-ドバック機構に偏りがあると思われる非定型的症例を選択的に抽出し、検査診断学的な立場から、その病態の解析を試みた。臨床的には、バセドウ病術後例、甲状腺のR1治療後例、小児例が多いのでそれぞれの臨床的特徴と、追跡可能な症例については、異常値の経時的変化を分析した。そして、その結果、成人例で、R1治療後や術後例でなく、遊離T_4(FT_4)が高値にも関わらず、甲状腺刺激ホルモン(TSH)が高値という、解離が強く認めるものを2例見い出した。そのうち1例は、橋本病による甲状腺機能低下症に潰瘍性大腸炎を合併しており、その病気の活動性に関連して消化管での甲状腺ホルモンの吸収障害があると考えられる症例で、一定量の甲状腺ホルモンの補充では、ホルモン値の変動を来たした。しかし、両ホルモン値の解離状態はほぼ一貫して認めた。患者血清中の抗T4自己抗体の存在は否定され、またゲル電気泳動でも、正常のTSHとの差を認めず、大きな分子サイズの異常は否定された。一方、本研究に関連して抗TSHモノクロ-ナル抗体を利用して、TSH分子のエピト-プを解析するシステムを開発したが、残る可能性として、各症例のTSH分子の、糖鎖などその微細構造に異常がないかを、現在同システムを利用して解析中である。
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