1990 Fiscal Year Annual Research Report
魚骨の有効利用に関する研究ー食酢による魚骨の軟化とその機構
Project/Area Number |
02680054
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
畑江 敬子 お茶の水女子大学, 家政学部, 助教授 (50156337)
|
Keywords | 魚骨 / 酢漬け / 官能検査 / カルシウム / テクスチャ- / サケ(鮭) |
Research Abstract |
魚類の骨は一般に廃棄されているが、カルシウムを多く含むことからこれを食品として利用できれば、栄養的に有意義である。東北・北海道の郷土料理の一つである「氷頭(ひず)なます」は、サケの鼻軟骨あるいは頭部を食酢に数時間から数日間浸漬し薄切りにして、ダイコン、ニンジンの線切りと合わせた酢の物である。酢に浸漬して軟化した軟骨の独得の食感を賞味する。そこで魚骨の有効利用という観点から、酢酸浸漬によるサケ鼻軟骨の軟化の機構を知ることを目的とした。そこで先ず、酢酸浸漬中のサケ鼻軟骨のテクスチャ-および嗜好性の変化を物性測定と官能検査により検討し、あわせて化学成分の変化を測定した。 船上凍結後ー40℃で2ー3ケ月貯蔵したアラスカ産シロザケ頭部を4℃16時間解凍後、鼻軟骨の部分のみ実験に用いた。これを2mm厚さの薄切りにし4%酢酸水溶液に168時間まで浸漬し経時的に測定を行い、以下の結果を得た。 1.サケ鼻軟骨は酢酸処理により生臭いにおいがなくなり、テクスチャ-は軟らかく、もろくなり、嗜好性が高まることが官能検査によって確められた。酢酸浸漬時間は24時間程度が適当とされた。 2.テクスチュロメ-タ-による硬さ、圧縮に要するエネルギ-および保水性の測定によっても鼻軟骨の軟化が示され、特に浸漬初期の軟化が著しかった。 3.軟骨のpHは比較的短時間のうちに浸漬液のpHに近づき、168時間後には軟骨のpHは浸漬液のpH(pH3.10)に等しくなった。 4.サケ鼻軟骨成分は浸漬により、水分、粗タンパク質量はほとんど変化しなかったが、糖質と灰分量の減少が著しかった。 5.糖質と灰分の主成分であるムコ多糖とカルシウムは著しく減少し、168時間後には未処理の1/2となった。
|
Research Products
(1 results)