1991 Fiscal Year Annual Research Report
X線および活性酸素による適応応答の誘導と致死,突然変異原性DNA損傷修復の機構
Project/Area Number |
02680168
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米井 脩治 京都大学, 理学部, 助教授 (60093340)
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Keywords | 活性酸素 / X線 / DNA酸化的損傷 / DNA修復 / 適応応答 / 遺伝子発現 / 突然変異誘発 |
Research Abstract |
得られた結果はつぎのとうりである。(1)大腸菌のmutM変異株では、X線や過酸化水素による致死および突然変異誘発効果に対する感受性が増大する。とくに、GCからTAへのトランスバ-ジョンの頻度が著しく上昇する。X線や活性酸素の作用でDNAのグアニン塩基の8位の炭素にOHラジカルが付加反応を起こして8ーヒドロキシグアニン(8ーohG)が生成することが分かっているが、mutM変異株の抽出液には、この8ーohGを修復するグリコシラ-ゼ活性は欠損していることを明らかにした。しかも、8ーohGの異性体の1つは本来のシトシン(C)とではなくアデニン(A)と塩基対を形成することも分かった。したがって、これらの結果から、8ーohGはDNAの酸化的損傷のうち8ーohGは主要な突然変異誘発性損傷であることを証明することができた。(2)sodA遺伝子は本来ス-パ-オキサイド誘導性であるが、熱ショックでも酸素依存的に誘導される。この原因は熱により膜存在の電子伝達系の乱れに伴うス-パ-オキサイドの異常産生であると仮定し、同様の作用を示す膜作用試薬で処理した細胞で、やはり酸素依存的にsodA遺伝子の発現誘導が起こることを証明した。(3)soi(ス-パ-オキサイド誘導性)遺伝子を新しく8クロ-ン分離することに成功した。これらの遺伝子の発現はsoxRと呼ばれる調節遺伝子によって正に調節を受けることを明らかにした。これらの遺伝子を欠損した変異株はパラコ-トやメナジオンなどのス-パ-オキサイド増産剤にきわめて感受性が高く、これらの遺伝子産物が活性酸素の毒性に対する防御において重要な役割を果たすことを明らかにした。その中でもっとも重要だと考えられるsoil0ーlacZ融合遺伝子のクロ-ニングの第一段階として、安定なλ溶原菌に変えることに成功した。
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[Publications] K.Tao: "Purification and characterization of the Escherichia coli OxyR protein the positive regulator for hydrogen peroxideーinducible regulon." Journal of Biochemistry. 109. 262-266 (1991)
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[Publications] QーM.Zhang: "Induction of maganese superoxide dismutase by membraneーbinding drugs in Escherichia coli." Journal of Bacteriology. 109. 3483-3491 (1991)
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[Publications] 米井 脩治: "光に対する生物の適応現象" 遺伝. 45. 55-59 (1991)