1990 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変とX線溶液散乱法による蛋白質のfoldingの研究 ーStaphylococcal nucleaseについてー
Project/Area Number |
02680217
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片岡 幹雄 東北大学, 理学部, 助手 (30150254)
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Keywords | X線溶液散乱 / 遺伝子操作 / folding / unfolding / 尿素変性 / Staphylococcal nuclease / 鎖状高分子 |
Research Abstract |
本年度は主として二つの異なる視点から研究を進めた。一つは全長のStaphylococcal nuclease(以下SNase)を用いて、unfold状態の構造の特徴付け、アミノ酸置換のunfold状態への効果を調べることで、他はfoldingのよいモデル系であるC末より13残基を欠失したフラグメントを用いた各種の測定である。 全長のSNase野生型、熱安定性変異体Class Iに属する変異蛋白質及びClass IIに属する変異蛋白質について、尿素変性をX線溶液散乱により測定した。この結果、慣性半径及びKratkyプロットの積分値が変性のよい指標となることが明らかになった。これらの物理量から得られる変性の見かけの平衡定数は、蛍光測定によるものとよい一致を示した。一方4M尿素存在下と6M尿表下では、蛍光では区別されず共に変性が完了した状態と見なされるのに対し、X線的には両者は明らかに異なっている。慣性半径には差は見られないが、Chain Statistcsが異なっているのである。この転移は5Mと6Mの間でおき、低尿素側の変性状態にはアミノ酸置換の効果が顕著に現れるのに対し、高尿素下ではどの変異体も野生型と同様の構造を取っていることが示唆された。 フラグメントは生理的条件下でfoldしていないが、阻害剤pdTp存在下でfoldすることが明らかになった。フラグメントにアミノ酸置換を施すとClass Iに属する置換は慣性半径、最大長とも野生型より小さくなり、Class IIに属するものは共に大きくなることが明らかになった。これは、アミノ酸置換の効果が変性状態にも現れることのより直接的な証明である。またフラグメントを用い、ストップトフロ-時分割X線溶液散乱を行ったが、急速混合のdead time(10msec)以内にfolding反応が終了してしまうことが明らかになった。現在この難点を逃れるために、低温下での測定について検討を加えると共に、slow folding の変異体を調整中である。
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[Publications] Mikio Kataoka: "properties of the Disorder Induced in the Purple Membrane Structure by Iodination" Science Reports of the Tohoku University ser 8. 11. 239-250 (1991)
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[Publications] Mikio Kataoka: "SmallーAngle Xーray Scattering Studies of Calmodulin Mutants with Deletions in the Linker Region of the Central Helix Indicate That the Linker Region Retains a Predominantly αーhelical Conformation" Biochemistry. 30. 1188-1192 (1991)