1990 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02801052
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Research Institution | Tenri University |
Principal Investigator |
西谷 真治 天理大学, 教養部, 教授 (90068669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
置田 雅昭 天理大学, 附属天理参考館, 学芸員
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Keywords | 銅鐸 / 出土地不詳 / 兵庫県 / 下本郷銅鐸 / 電気探査 / 磁気探査 / 電磁誘導探査 / メトロポリタン美術館 |
Research Abstract |
佐原真・春成秀爾「鐸出土地名表」(1982年)は,出土地不詳品65例を掲げるが,重複や出土地伝承を持つものを含む。それらを除外すると,出土地不詳銅鐸は58点である。一方,300余遺跡から出土した,400余点の銅鐸にはかなりの数の行方不明品がある。本年度は兵庫県佐用郡三日月町下本郷出土銅鐸に重点を置いて研究を進めた。 兵庫県佐用郡三日月町下本郷では文化11年(1914)に銅鐸が出土したが,現物は行方不明である。わずかに,出土後に描かれた絵図の写しが残っている。これをたよりに出土地不詳銅鐸に該当するものがないかどうかを検討したところ,高さ110.5cmのニュ-ヨ-ク・メトロポリタン美術館所蔵品が法量,型式,欠損箇所,行方不明になった時期などが一致し,あるいは矛盾点がない。従って,両者は同一物であると推定される。 また,三日月町下本郷銅鐸出土伝承地を調査したところ,旧状をよく残していることが明らかになった。このため,出土伝承地の地形測量と探査を行った。出土伝承地は千種川の上流にあたる本郷川と志文川にはさまれた,標高340mの山の東斜面で,標高225m前後に位置する。現地の状況はかつて段々畑であったことを示し,絵図に注記された様子と一致する。 併せて,出土伝承地の10×19mの範囲で,電気探査,磁気探査,電磁誘導探査の各々を行った。この結果,3つの探査法のいずれもが,約7m離れた2カ所に異常があることを示した。その1カ所は高さ1〜1.5mの崖の下で,絵図の注記が,銅鐸は畑の岸から出土したとするのに符合する。崖の下の異常地点は長さ2mほどの大きさと推定され,銅鐸が埋まっていたとするのに適当な大きさである。
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